将軍の妻である御台所(正室)や側室、そこに仕える女中たちの序列が整えられ「大奥」と称されるようになったのは、四代将軍徳川家綱の時代である。その礎を築いたのは、三代将軍徳川家光の乳母の春日局だった。「大奥」というと、選ばれた才色兼備の女性たちが、豪華絢爛で美麗を尽くした衣装をまとい、広い江戸城で優雅に暮らす姿を思い浮かべるが、徳川家の存続の為、将軍の世継ぎを生み育て上げるという、親族あげての期待とプレッシャーの生活は、華やかで美しい側面ばかりではなかったに違いない。本展は江戸幕府の隠された歴史とも言える、大奥の歴史と文化を、その虚実を通してみることができる展覧会である。
「あこがれの大奥」「大奥の誕生と構造」「ゆかりの品は語る」「大奥のくらし」という4つの章で構成される。なかでも、坂東三津五郎に弟子入りした三津絵は、女性の歌舞伎役者として大奥に出入りをしていた。大奥で演じられた歌舞伎の衣装が一挙公開されるのは今回が初めてのこと。また、ドラマや映画のヒロインになった人物のゆかりの品も展示される。雀が好きだった篤姫の衣装や皇女和宮も所持していた武家風の搔取など貴重な品も紹介される。さらに重要文化財 奈良・興福院の刺繍掛袱紗全31枚が公開されるとともに、楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)の描いた錦絵『千代田の大奥』40場面などは、実物で全場面みることができるまたとない機会である。
本展の音声ナビゲーターは、ドラマ10「大奥」(NHK)で徳川吉宗役、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)に大奥総取締 高岳役で出演中の冨永愛さん。本展のみどころや、大奥の真実を語る作品の魅力を紹介してくれる。


特別展「江戸☆大奥」
会期:2025年7月19日(土)~9月21日(日)
休館日:月曜、7月22日(火) 但し、7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館
開館時間:9:30~17:00 毎週金曜、土曜、7/20(日)、8/10(日)、9/14(日)は20:00まで。
入館は閉館の30分前まで。
会場:東京国立博物館 平成館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:http://ooku2025.jp/