円谷英二邸（幸野メディカルクリニックの隣：祖師谷三丁目にあたる）の近所に住んだのが、東宝争議で中心的役割を果たしたカメラマン・宮島義勇（近代映画協会など独立プロ作品や小林正樹監督作品に参加）に、『綴方教室』(38年)など何本かの東宝作品に出演した赤木蘭子と信欣三ご夫妻。若き日の安西郷子（のちに三橋達也と結婚する）や松尾文人（ふみんど/東宝・新東宝の脇役俳優）、島田順司（テレビ時代劇でお馴染み）、桜木健一（なんたって「柔道一直線」！）、それに砧から越した大林宣彦監督も、一時ここ祖師谷三丁目の住人であった。
祖師谷の北方、上祖師谷には、成城学園初期の保護者で人間国宝にもなった陶芸家・富本憲吉が窯を持っていた。その子息・富本壮吉は大映で映画監督となり、のちにテレビの「家政婦は見た！」でその名を高める。成城に隣接する上祖師谷には、他にも山口崇、高橋元太郎、宍戸錠、大塚国夫（一時東宝に所属）といった俳優たちが居住。加藤剛が成城に居を構えたのは、高橋元太郎の助言によるものとご本人から伺っている。
東宝撮影所の南方・大蔵地区に居住したのは、井上梅次監督・月丘夢路夫妻、平田昭彦（のちに久我美子と代沢に転居）、祖師谷にも住んだ一の宮あつ子、松尾文人などがいる。『七人の侍』の「決戦の村」セット設営地跡に建てられたのが大蔵団地15号棟。その隣14号棟にはゴジラのスーツアクター・中島春雄が住んだ（註１）。