社長になって、何事もなく退任できれば、それに越したことはない。平穏無事に任務を務め上げることができれば一番いいなと思うが、いろいろと考えなければいけないことはでてくる。会社を維持するためにはと、さまざまな考えが浮かんでくるわけで。そんな中で、悩んだことと言えば、今後の東映映画の路線をどうしようかということだったかもしれない。やはり、東映というのは映画で食っているわけだから。そこで見えてきたのは、路線以前の問題だった。以前のように路線を創る能力がないのだ。そうすると、限られた資源をどのように運営していくかということを考える。シネコンを造るというのも一つだろうし、撮影所をテコ入れするというのも一つだし、プロデューサーを育てるというのも一つである。そんな考えを突き詰めると、やはり、東映は製作の会社というところに行きつく。唯一戦えるのは製作会社としての東映を進化させることだと思う。そこに気づいて、そこに向かっていかないと、東映は残っていけないし、みんな食べていけない。
映画のチケットをみなさんに買っていただくというのは、映画会社のセールスとして当たり前の事であった。昨年、『レジェンド&バタフライ』のプロモーションの際に「チケットを無理して売らなくていい、映画を売ろう」ということを決め、みんなの気持が一つになった。以前は、映画の宣伝で一番大事な時期にチケットを1枚でも多く売らねばと懸命になっていた。だが、切符を買って観に来てくれるお客様に、映画のすばらしさをしっかりと伝えることが大事なのだ、と『レジェンド&バタフライ』では作品そのものをセールスした。成功するかどうかはわからなかったが、その思いに悔いはない。結果、東宝や松竹のスクリーンでも、400スクリーン以上で本編は上映され、大ヒットした。
8月11日(金・祝)に全国公開される映画『リボルバー・リリー』。大正末期の1924年。関東大震災からの復興でモダンな建物も増え活気にあふれる帝都東京。16歳からスパイ任務に従事し、東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与したという経歴を持つ元敏腕スパイ・小曽根百合。現在は東京の花街の銘酒屋で女将をしているが、あるとき、消えた陸軍資金の鍵を握る少年と出会ったことから、百合は少年と共に陸軍の精鋭部隊から追われる身となる。大藪春彦賞を受賞した長浦京の同名小説(講談社文庫)を原作に、本作のメガホンをとったのは、日本アカデミー賞最優秀監督賞を始め数々の映画賞を総なめにした『GO』を始め、『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』など数々の話題作を世に送り出してきた行定勲。そして主役の百合で〝史上最強のダークヒロイン〟という新境地に挑むのが、『レジェンド&バタフライ』の濃姫役も記憶に新しい綾瀬はるか。綾瀬はとびぬけた身体能力を活かして、スリリングでエキサイティングなノンストップアクションを披露しながら、大劇場のスクリーンで観るにふさわしい、観客を魅了するヒロインを演じている。キャストのお披露目会見では、「今回、髪を短くしたり、アクション・シーンも含めて、いままでにない新たな挑戦と言える映画です。観る人の心を揺さぶるような作品になれば」とコメントしていた。そして行定監督は、『北の零年』以来の大規模な映画、と作品を紹介する。共演者も豪華で、長谷川博己、羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司らが名を連ねている。公開初日の丸の内TOEIでは、10:30回の上映終了後に、出演者らによる公開記念舞台挨拶が予定されている。©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ ©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ 8月11日には映画『リボルバー・リリー』が公開される。長浦京原作の、行定勲監督による、女性が主人公のアクション大作であり、是非、映画館で観てほしい作品に仕上がっている。
果たして、観客のみなさんがどんな思いでこの映画を観てくださるのかが楽しみである。