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老いは戯れるもの─萩原 朔美の日々   

—老体からは逃げられない。でも笑い飛ばすことは出来る—

萩原 朔美さんは1946年生まれ、11月14日で紛れもなく77歳を迎えた。喜寿、なのである。本誌「スマホ散歩」でお馴染みだが、歴としたアーチストであり、映像作家であり、演出家であり、学校の先生もやり、前橋文学館の館長であり、時として俳優にもなるエッセイストなのである。多能にして多才のサクミさんの喜寿からの日常をご報告いただく、連載エッセイ。同輩たちよ、ぼーッとしちゃいられません! 

連載 第23回 キジュからの現場報告 

 金沢の鈴木大拙館を訪ねた時、

〝人が、登山で山頂に達した時、山を征服したと言う事があるけれど、そのくらいで征服とは言わず、山と友達になったぐらいがいい〟みたいな意味の文章に出会った。なるほどと納得した。

 同じような意味で、私は最近老いと戦うという思いをやめた。老いに戦いを挑むなどおこがましいと感じたのだ。山に戦いを挑むのがおこがましのと同じだ。自然との戦いの結果は、今の世界の現状だ。老いとは戦わない。老いと友だちになる。そのぐらいが人に出来る最大のチャレンジだと思うのだ。老いという友人と戯れる。

ゼミの卒業生たちと山登りをする筆者(左)

 さて、どうやって戯れようか。考え、アイデアを捻りだし、試演し、実行する。それが今一番の楽しみになればありがたい。

2014年、那須連山の西端に位置する標高1719mの白笹山へ

第22回 引きこもりの愉しみ
第21回 楽しい会議は老化を防ぐ
第20回 記録はアートになりたがる
第19回 老いが追いかけてくる
第18回 気がつけばおばんさん気分
第17回 新しい朝が来た、希望の朝だ♪
第16回 年齢とは一筋の暗闇の道
第15回 今こそ<肉体の理性>よ!
第14回 背中トントンが懐かしい
第13回 自分の街、がなくなった
第12回 渡り鳥のように、4箇所をぐるぐる
第11回 77年余、最大の激痛に耐えながら
第10回 心はかじかまない
第 9 回 夜中の頻尿脱出
第8回 芝居はボケ防止になるという話
第7回 喜寿の幕開けは耳鳴りだった
第 6 回 認知症になるはずがない
第 5 回 喜寿の新人役者の修行とは
第4回 気がつけば置いてけぼり
第3回 片目の創造力
第2回 私という現象から脱出する
第1回 今日を退屈したら、未来を退屈すること


はぎわら さくみ
エッセイスト、映像作家、演出家、多摩美術大学名誉教授。1946年東京生まれ。祖父は詩人・萩原朔太郎、母は作家・萩原葉子。67年から70年まで、寺山修司主宰の演劇実験室・天井桟敷に在籍。76年「月刊ビックリハウス」創刊、編集長になる。主な著書に『思い出のなかの寺山修司』、『死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日』など多数。現在、萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち 前橋文学館の館長、金沢美術工芸大学客員教授、前橋市文化活動戦略顧問を務める。 2022年に、版画、写真、アーティストブックなどほぼ全ての作品が世田谷美術館に収蔵された。


映画は死なず

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