第21回【私を映画に連れてって!】「映画俳優として生きていきたい」と語った大沢たかおが、世界に羽ばたく日は近い!

『異邦人たち』は元々、岩井俊二監督+エドワード・ヤン監督(『ヤンヤン夏の想い出』)+スタンリー・クワン監督3人の「Y2Kプロジェクト」としてスタートしたものの岩井監督が諸般の事情で断念したことにより、外国人監督2人のプロジェクトになった。スタンリー・クワン監督の『ロアン・リンユィ』(1991/ベルリン国際映画祭最優秀女優賞:マギー・チャン)は傑作だった。


『異邦人たち』はアジアのスター俳優スー・チーやミッシェル・リーとの共演で、日本からは大沢たかおさん、桃井かおりさんに出演してもらった。


 英語のことを考え、彼はベルリッツで真剣に特訓(僕も形だけベルリッツに半年通ったが……)しながら、香港での撮影に臨んだ。映画は第50回ベルリン国際映画祭2000コンペティション部門に選出され、一緒にベルリンに行った。


 結果はグランプリ(金熊賞)『マグノリア』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)、銀熊賞『初恋のきた道』(チャン・イーモウ監督)、監督賞にミロシュ・フォアマン、主演男優賞にデンゼル・ワシントン………等錚々たるメンバーで、『異邦人たち』は残念ながら無冠に終わった。


 映画祭のオープニングパーティは華やかで、ぼくはあまり馴染めない方なのだが(言葉の問題もあり……)、いきなり彼が、「河井さん、あれ、ヴィム・ヴェンダース監督ですよね」と。


 昔、『ベルリン・天使の詩』(1987)のプロモーションで、来日時にインタビュー取材をしたことがあったので「たぶん、そうだね……」と返したら「隣にいるのはボノじゃないですか?」「ボノ?」「U2のボノですよ!」


 隣にいたのが大沢たかおさんでなければ、これで終わっていたのだが……。

 
 ヴィム・ヴェンダース監督の『ミリオンダラー・ホテル』もコンペティション部門で参加していて(結果は「特別賞」受賞)、何と原作・音楽はボノ。まぁ、同じコンペティション部門の参加者と考えれば臆することはないのだが……。


 突然、「行きましょう!」と……。

 人をかき分けながら、彼の後に付いていく。ここでベルリッツでの習得の差が歴然とする。ヴィム・ヴェンダース&ボノと堂々と英語で話し始めたのである。ある意味では当たり前の光景なのだが、ぼくは、笑いながら頷くだけで……。

▲香港・日本の合作映画で、日本では2001年2月に公開された『異邦人たち』。香港での試写会で、スタンリー・クワン監督、大沢たかお、桃井かおり、ミッシェル・リー、スー・チーらと登壇しスピーチをする筆者。第50回ベルリン国際映画祭にも出品され筆者も出席した。

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