
浜美枝はよく知られるように、元々は東急のバスガイドをしていた職業婦人。本名を浜田三枝子という。東宝作品のコンテストに応募したところを(落選したものの)スカウトされ、59年に東宝入社。星由里子、田村奈巳と三人で〝東宝スリーペット〟なる、いささか微妙なトリオ名(※3)をつけられるも、いくつかの人気シリーズで能動的な現代女性を溌剌と演じ、遂に『キングコング対ゴジラ』(62)で怪獣少年たちのミューズとなる。ゴジラとコングの両方から襲われる役など、会社の期待の表れ以外の何物でもない。
団を引き継ぐかのように、植木のC調さと互角に渡り合う活発な女性を演じ続けた浜は、やがて世界のボンド・ガールに抜擢。ショーン・コネリーの相手役を演じることになったのは、その抜群のスタイルがものを言ったからに違いない。

そして、このクレージー映画の両ヒロインが共に、「明るく正しい」健全な東宝映画にあっては極めて珍しい、大胆かつ激しいヌード・シーンに挑戦しているのは、いったいどうしたわけか。
団は問題作扱いされた恩地日出夫監督の『女体』(64)で、浜は〝若大将〟でお馴染みの岩内克己監督による野心作『砂の香り』(68)で、示し合わせたかのように全裸を披露。こうした東宝女優はお二人以外にはおられないので、奇縁を感じてしまう(※4)。
