一方で『遊びの時間は終らない』(1991)をシネマアルゴ新宿の映画館で観たことを思い出した。滝田洋二郎監督の映画でチーフ助監督をやってくれていた萩庭貞明さんの監督デビュー作でコメディとしてとても面白かった(萩庭監督はその後、『難波金融伝・ミナミの帝王』シリーズで映画にVシネマで大活躍する)。脚本は斉藤ひろしさんで、その後、時々会っていてコメディ映画なら書ける! と思い、『国会へ行こう!』は途中からのシナリオ制作になってしまったが、快く引き受けてくれた。結果的にはメジャー映画(東宝配給)としての彼の最初の脚本作品になった。その後『秘密』(滝田洋二郎監督)や『老後の資金がありません!』(前田哲監督)等、今も活躍中だ。
ぼくは製作からはフェードアウトしてしまったが、彼のお陰で、映画は面白くなったと思う。映画の脚本クレジットは「斉藤ひろし・高野和明」の共同名にした。監督は面識がなかった『あぶない刑事』等でテレビ、映画をやっていた一倉治雄さんが引き受けてくれ、アクションコメディが出来上がったように思う。
そんなにヒットはしなかったが、映画の試写には羽田孜さん(後に首相)ら、自民党幹部連が観に来て鑑賞後、なぜか気勢を上げた。5月に映画が全国公開され、直後の6月に宮沢内閣の不信任決議案に賛成して自民党を集団離党、新生党を結成する。その年の8月には細川内閣が誕生。目まぐるしい55年体制の崩壊劇であったが、実は映画の中でも自民党分裂、新体制を予見したストーリーになっている。そのことはあまり世間の話題にはならなかった気はするが、「映画の存在」としてはとても面白かった。
若き秘書を演じてくれた吉田栄作さんと政治家役の緒形拳さんとのコンビも良かった。自分のプロデューサー作品には残らないが、「企画」でペンネームを記してくれた。
