日本歌謡界のアイドル史に名を残すジャニーズ事務所所属の少年隊がレコードデビューしたのは1985年12月12日だった。デビュー曲は「仮面舞踏会」。<少年隊>という呼び名は、もともとはジャニーズ事務所研修生であるジャニーズJr.に対する総称であり、錦織一清、植草克秀、東山紀之の3人で少年隊として活動が始まったのは、81年からだった。グループ結成当初のレコードデビュー以前には、近藤真彦や田原俊彦のバックダンサーなどを務めていた。また、82年にはレコードデビュー前にも関わらず、フジテレビ系の人気音楽番組だった「夜のヒットスタジオ」に単独ユニットとして出演しており、レコードデビューまでに、何と10回前後出演していたという。84年には、郵便貯金ホールにて単独でファースト・コンサートも開催しており、85年、まさに満を持してのレコードデビューだったわけである。じっくりと時間をかけて育てあげてからのデビューということからも、ジャニーズ事務所の力の入れようがうかがえる。
錦織、植草、東山は、それぞれニッキ、カッちゃん、ヒガシの愛称で呼ばれ、特撮の戦隊ドラマよろしくレッド、イエロー、ブラックとイメージカラーも決まっていた。そういえば、86年に「仮面舞踏会」でNHK紅白歌合戦初出場を射止めトップバッターを飾ったとき、白組司会の加山雄三が曲名を「仮面ライダー」と誤って紹介したエピソードが思い出される。86年の初出場組には、荻野目洋子、大月みやこ、吉幾三、山川豊、そして紅組司会も務めた斉藤由貴がいる。少年隊は、93年まで連続8回出場している。
レコードデビュー以降の少年隊の活躍にはめざましいものがあった。86年には、その後2008年まで続いたオリジナル・ミュージカル『PLAYZONE』が開演。日本レコード大賞、日本テレビ音楽祭などで最優秀新人賞を獲得。ちなみに86年のレコード大賞は、中森明菜「DESIRE-情熱-」で2年連続の大賞に輝いている。最優秀歌唱賞は北島三郎「北の漁場」、大賞ノミネート作品の金賞は、小林旭「熱き心に」、石川さゆり「天城越え」、テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」、渡辺美里「My Revolution」、中山美穂「ツイてるねノッてるね」などが受賞しており、まだまだ歌謡曲が熱い時代だった。87年にはプロマイド年間売上の1位となり、93年度のゴールデン・アロー賞では演劇賞と大賞を受賞している。
少年隊のシングルリリース曲ではデビュー曲の「仮面舞踏会」に続いて、「ダイヤモンド・アイズ」「バラードのように眠れ」「stripe blue」「君だけに」「ABC」「What’s your name?」「じれったいね」がオリコンチャート1位を獲得し、現在までで少年隊のオリコンシングルチャート最後の1位となった「まいったネ 今夜」は89年6月19日に14枚目のシングルとしてリリースされた。