慶応高校107年ぶり2度目の優勝が大きな話題となった今年の夏の高校野球。107年前と言えば1916年、大正時代である。現在も、春、夏の風物詩として多くの人々を夢中にさせる、プロ野球とはまた異なる高校野球の魅力というものを、再認識させられた。高校野球では、球児たちの活躍もさることながら、炎天下のアルプススタンドで球児たちに声援を送り続ける応援団たちの姿もキラキラとまぶしい青春の一枚の画である。応援歌の一つにシングル発売以来、現在でもピンク・レディーの「サウスポー」や、山本リンダの「狙いうち」などと共に、定番楽曲となっているのが、岩崎良美が歌う「タッチ」である。応援曲も時代の移り変わりと共に最新の楽曲が取り入れられる中、昭和育ちの高校野球ファンたちを喜ばせている応援歌だろう。
「タッチ」は、81年の36号から、86年の50号まで、「週刊少年サンデー」に連載された、あだち充の漫画で、高校野球を題材に、上杉達也・和也の双子の兄弟と、幼馴染の浅倉南の3人を主軸に恋愛を絡めて描き、人気を誇った。連載時の単行本の初版は200万部に達している。
テレビをはじめ、劇場用アニメとしても3作が製作され、実写のテレビドラマや映画も製作されている。
テレビアニメは、85年3月24日から87年3月22日までフジテレビ系列で放送され、85年12月22日放送回では31.9%の視聴率を上げ、常に20%以上の視聴率を獲得する人気番組となった。
実写では、87年に男闘呼組の岡本健一(2役)とミス南コンテストグランプリを受賞した浅倉亜季の主演でテレビドラマ化され、映画は2005年に犬童一心監督がメガホンをとり、長澤まさみが浅倉南を演じ、原作をベースにしてオリジナル・ストーリーとして製作された。達也・和也は斉藤祥太・慶太の双子が演じた。
また、ヒロイン・浅倉南は、〝スポーツ美少女〟の代名詞となり、フジテレビ系列のニュース番組「FNNスーパータイム」では「南ちゃんを探せ!」なる学園のスポーツ美少女を紹介するコーナーが設けられ、4年間も続いた。