SPECIAL FEATURE

筒美京平 生誕85周年企画 作曲家と編曲家の二刀流で大ヒット曲をかっ飛ばし続けた歌謡界の大谷翔平!


 筒美京平は作曲家でありアレンジャー、そしてサウンドプロデユーサーだった。

 ホーンセクションやストリングス、ドラムやベースがもたらすリズム感がメロデイーと一体になって生まれる「心地よさ」や「カッコ良さ」。朝丘雪路が歌った70年の「雨がやんだら」や71年の平山三紀の「真夏の出来事」はそんな曲たちだった。

▲(左)1970年10月21日リリースの朝丘雪路「雨がやんだら」(作詞:なかにし礼)は、オリコンシングルチャート5位という朝丘雪路最大のヒット曲となり、5年ぶり10回目のNHK紅白歌合戦出場をもたらした。平山三紀の「真夏の出来事」とあわせて筒美は71年日本レコード大賞・作曲賞を受賞した。(右)1971年5月25日リリースの平山三紀(現・平山ミキ)「真夏の出来事」(作詞:橋本淳)。オリコンシングルチャートでは5位。


 当時と今との音楽を取り巻く環境は天と地ほどの違いがある。

 筒美京平がレコード会社の洋楽デイレクターだったことはもはや知らない人はいないだろう。それだけではない。僕らが高校生の頃に聞いていたガス・バッカスの「恋はスバヤク」や坂本九が歌っていた「涙くんさよなら」をアメリカの人気歌手、ジョニー・ティロットソンに歌わせた時のデイレクターが彼だったことを知るのは遥かに後のことだ。

 音楽雑誌と呼ばれるのはクラシックにジャズや洋楽ロック。テレビから流れるのは歌謡曲ばかりでGSも芸能誌でしか扱われない。「歌手」に話題性はあっても「作曲家」を語る媒体など存在しない。それが70年代初めの状況だった。

▲1973年7月5日リリースの麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」(作詞:千家和也)はオリコンシングルチャート1位の大ヒットとなり、麻丘めぐみは73年日本レコード大賞・大衆賞を受賞した。筒美は麻丘めぐみのデビュー曲「芽生え」(作詞:千家和也、編曲:高田弘)も手がけており、麻丘めぐみは郷ひろみや森昌子を抑えて72年日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞している。





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