秋山庄太郎ポートレートの美学

「自然に撮れた顔は美しく、自然ないちばんいい顔は誰にもある」。それを見つけるため、シャッター以前の時間も大切にした。「生まれはどこ?」「どこそこの食事はおいしいね」など話しながら、顔の向きを観察したり、アングルなどを短時間で決断したりする。

 雑誌の表紙撮影は20誌にも及んだこともある。「秋山担当の雑誌は売れる」。
「秋山に撮影してもらうのが、スター女優への登竜門」、マネジャーらは売り込みのため、「秋山詣で」に余念がなかった。
 四半世紀近く表紙連載した雑誌をはじめ、撮影した女優は5000人は下らない。同年代の女優から娘の世代になり、最晩年は「曾孫が相手になった」と苦笑した。
「人には美しい姿もあれば、醜い姿もある。もし、その人物の醜い瞬間を捉えてしまったら、フィルムを燃やしてでもしまわない限り、いつまでも残る。人のあらを探ることはない。だからこそ、私は真なるもの、善なるもの、美なるものを求める」

昭和28年(1953)に美術家団体二科会に写真部ができた。二科会写真部創立会員の4人の写真家。左から早田雄二、秋山、林忠彦、大竹省二。西麻布の秋山スタジオにて。

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