小劇場の町という横顔
TOWN STORY 2017年4月1日号より






1982年11月3日、下北沢に本多劇場が開場した。下北沢が〝演劇の町〟〝小劇場の聖地〟などと呼ばれる始まりである。以来 35 年、夢の遊眠社、第三舞台など多くの劇団がこの劇場で数々の上演を行った。芝居を観た後は、作品の余韻に浸りながら、昼の公演であればコーヒーを飲んだり、夜であれば酒を飲みつつ 観てきたばかりの舞台のことを語りたいものだ。下北沢には、それを楽しむことができる店がそろっている。そんな下北沢の町の特性が、演劇活動とうまく折り合い、〝演劇の町〟として活性化した部分があるに違いない。2017年、読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞したばかりの 演出家・藤田俊太郎さんと一緒に、本多劇場から町歩きをスタートさせた。
photograph by Tadashi Okakura
今回、下北沢を一緒に歩いていただくのは演出家の藤田俊太郎さん。昨年上演されたミュージカル 『ジャージー・ボーイズ』の日本版初演の演出で、本年、読売演劇大賞で優秀演出家賞を受賞し、作品は最優秀作品賞に輝いた。
ニナガワ・スタジオで 10 年余り蜷川幸雄さんの作品の演出助手を務めた藤田さん。「単なる翻訳物を超える密度で新鮮な驚きに満ちた舞台」「オリジナル版が凡庸に思えるほど刺激的な舞台」「蜷川幸雄の遺志を受け、師の演出手法を現在形に生まれ変わらせた。鮮やかな精神のリレーだった」などなど、 数多くの賞賛の言葉が藤田さんと作品に贈られた。
さらに言えば、主演の中川晃教は最優秀男優賞を受賞している。
藤田さんもよく通ったという、夜の講演を控えた本多劇場を訪ねた。


藤田俊太郎さんが訪ねた、「本多劇場」、牧場直送の牛乳で作るロールケーキが人気の「パティスリー コウヅ」、大人の舌を悦ばせるうまい酒と料理の店「楽味」はこちらからご覧ください。