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美輪明宏に才能を見出された中島歩さん

もうひとつの新宿と言われる「南新宿」を探索

TOWN STORY 2015年4月1日号より

小田急小田原線の各駅停車で新宿の次の駅、南新宿。住所でいえば、代々木1丁目、2丁目界隈の町である。どちらかといえばJRの代々木駅や、新宿駅から歩いて通り過ぎる町かもしれない。
あえて、南新宿の駅に降り立つことなど、住人でもなければないだろう。だからこそ、南新宿の駅に降り、そこから町を歩いてみたくなった。巨大なターミナル駅新宿の隣とは思えないほど、駅周辺の景色は都会の色ではない。今回、ご一緒していただいたのは俳優の中島歩さん。NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵演じる蓮子の駆け落ち相手を演じ、たちまち話題の俳優となった。新宿の裏路地のような町、南新宿の景色に、昭和の大学生のような風情の中島さんの佇まいがしっくりと溶け込む。
photograph by Tadashi Okakura

 南新宿駅、この地に住んでいる以外、およそ利用することのない駅ではないだろうか。この界隈に用があったとしても、JRの新宿駅や代々木駅を利用するだろう。それだけに、どんな風景の町なのか興味をそそられた。俳優の中島歩さんと駅の改札で待ち合わせた。

 小田急小田原線で新宿から一つ目の駅だが、小さな郊外駅のような佇まいだ。中島歩さんは、NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵演じる蓮子の駆け落ち相手である宮本龍一役が好評を博し、全国にその顔を知られることになった。

 舞台『黒蜥蜴』の稽古の真っ最中で、その合い間をぬっての町散歩である。また、菊池亜希子さんとW主演を務めた映画『グッド・ストライプス』も(2015年5月30日)公開され、俳優としての仕事が活気づいている。中島さんが演じるのは、都会育ちのいわゆる草食系男子で、優柔不断なお坊ちゃま。自由奔放な文化系女子の恋人との関係も、どこか煮詰った感がある。そんななか、恋人の妊娠が発覚し、行きがかり上結婚することになるのだが、生まれも育ちも違う二人には揉め事が絶えない。それでもなんとか結婚の準備を進めていくのだが、それはそれまで知らなかったお互いのルーツをたどる、二人にとって愛しく大切な時間となった。結婚しても自分のライフスタイルを変えずに無理なく暮していきたいという、都会に暮す男女の日常のスケッチがゆるやかなリズムのなかリアルに描かれる。
「両親の離婚以来ずっと会っていなかった父親との再会など、結婚までのプロセスでいろんな人に出会う映画で、俳優同士の関係性がそのまま役柄にも反映されていると思います。この役を僕が演じるという意味合いを受け止めながら演じました」

中島歩さんが訪れた「アド ハビット」「粗挽き蕎麦 トキ」は、下記をクリックしてご高覧ください。

 学生時代にモデルの仕事を始めたのも、いずれは芝居がしたかったからだという中島さん。美輪明宏さんにその才能を認められ、舞台で幸運な俳優デビューを飾り、「花子とアン」で、さらにその魅力を開花させ、今回、主演映画が公開される。他の誰でもない、自分がその役を演じる意味ということを常に自身に問い掛けながら役と向き合うその姿勢が、俳優として羽ばたく大きなエネルギーになっているに違いない。映画でも、それまでとは違う「俳優・中島歩」の顔が映し出されているはずだ。

なかじま あゆむ
俳優。1988 年宮城県生まれ、東京育ち。日本大学藝術学部文芸学科卒。大学在学中はモデルとして活動。2013 年に美輪明宏主演の舞台『黒蜥蜴』のオーディションで200 名の中から黒蜥蜴の愛人雨宮潤一役に選ばれ、同舞台で俳優デビュー。また、2014 年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」では仲間由紀恵演じる蓮子の駆け落ち相手の宮本龍一役でテレビドラマ初レギュラーとなり、一躍注目を浴びることになった。明治時代の小説家、国木田独歩の玄孫にあたる。

2015年4月1日 Vol.23より
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