伊勢原駅

当世風「大山詣で」を楽しんだ
俳優の眞島秀和さん

TOWN STORY 2013年7月1日号より

江戸中期以降、寺社参詣を兼ねた物見遊山の旅が増え、江戸の庶民たちも江の島・鎌倉、成田山、富士山などに出かけた。また伊勢参りは、一生に一度の贅沢ともされた。なかでも特に人気が高かったのが「大山詣で」だ。富士山まではなかなか足を延ばせないが相州大山あたりだと江戸から手頃な距離だったのだろう。時代小説にも描かれ、落語の「大山参り」でも知られる〝江戸庶民もすなる〟大山参詣なるものを味わってみようと、俳優の眞島秀和さんを誘って、新緑の丹沢・大山国定公園の表玄関である伊勢原へと向った。
photograph by Tadashi Okakura

緑のエネルギーを浴びながら
大山寺で招福除災

 関東各地から大山への参詣者が通る道が「大山道」として定着し大山を中心に放射状に広がり、関東四方八方の道はすべて大山に通じるほどになった。ちなみに国道246号線も世田谷通りも大山詣でのためにできた大山道である。当世風大山詣でに活用したいのが2日間有効の〈丹沢・大山フリーパスAキップ〉というお得なキップ。小田急線往復と神奈川中央交通バスに大山ケーブルが付いて新宿からだと2140円。というわけで、今回の旅気分の散策は新宿駅からスタート。

 ご一緒いただいたのは俳優の眞島秀和さん。大山の玄関口となる小田急小田原線伊勢原駅までは、急行で約1時間。駅北口のバス乗り場から〈大山ケーブル行き〉に乗り込む。終点の大山ケーブルまでは30分程度。伊勢原の町中を抜けると、田園風景が広がり丹沢の山々が近くに感じられてくる。大山詣でといえば、年配の山ガール&ボーイの楽しみかと勝手に思っていたが、意外に若い人たちも多い。この日のバスには8人のフランス人の若者グループが乗り合わせた。今や、大山詣でも国際的な娯楽のようだ。バスを降りると〈こま参道〉と呼ばれる石段の道をケーブルカー乗り場に向う。大山には〈大山独楽〉という大山信仰と共に発達した縁起のよい郷土玩具がある。こまのようによく知恵がまわる、というわけだ。

  ケーブルカーの駅までの382段の参道の両脇には土産物屋や豆腐料理や蕎麦を食べさせる店、旅館などが立ち並び、手焼きの〈大山せんべい〉など を買い食いするのも楽しい。ぶらぶらと歩くこと約15分、いよいよケーブルカーでまずは終点の阿夫利神社下社まで向う。所要時間はわずか6分。大山は、標高1252メートルの独立峰で、山頂に阿夫利神社本社があり標高700メートルの中腹に下社がある。江戸の庶民たちは整備されていない山道を どのように登ってきたのだろう。「すごいながめですね、江の島が見えますよ」と眞島さんが指差す先に江の島が 浮んで見えた。三浦半島から房総まで が望める。「それに、エネルギーが満ちてくるような空気感がありますね」という通り、この地はパワースポットとしても人気があるようだ。 「お茶でも飲んで休憩しませんか」と声をかけてくれた茶店のおばさんの厚意に甘えて一息入れて、ケーブルカーの途中駅大山寺まで下ることに。乗り降り自由のフリーパスがやはり便利だ。

眞島秀和さんの訪ねた「雨降山 大山寺」、きゃらぶきで有名な140年続く佃煮の老舗「大津屋」、豆腐料理の「東學坊」は下記をクリックしてお読みください。

2013年7月1日 Vol.16より
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