プロマイドで綴る わが心の昭和アイドル&スター
大スター、名俳優ということで語られることがない人たちかもしれないが、
青春の日々に密かに胸をこがし、心をときめかせた私だけのアイドルやスターたちがいる。
今でも当時の映画を観たり、歌声を聴くと、憧れの俳優や歌手たちの面影が浮かび、懐かしい青春の日々がよみがえる。
プロマイドの中で永遠に輝き続ける昭和の〝わが青春のアイドル〟たちよ、今ひとたび
企画協力・写真提供:マルベル堂
岸惠子、岡田茉莉子、有馬稲子、岩下志麻、倍賞千恵子、桑野みゆき、鰐淵晴子ら、昭和のスター女優を輩出した女優王国・松竹が次世代のスターとして期待をかけた尾崎奈々。結婚を機に引退して半世紀以上が経つ。時折、テレビのローカル局で再放送されているドラマを観て、都会的な容姿と可憐な清純派の部分が備わった魅力的な女優だと再認識した。
女子高在学中の1965年にスカウトされ、マネージャーから勧められ、日活のカメラテストを受け合格し、翌66年には再びマネージャーの勧めで東映のカメラテストを受け合格するも、結局は最後に受けた松竹へ入社した。同年11月に試験官だった野村芳太郎監督の『命果てる日まで』でスクリーンデビューした。菊田一夫原作のメロドラマで、山口崇、香山美子、生田悦子の3人の波乱に満ちた人生模様を描いた映画で、岩下志麻、倍賞千恵子、桑野みゆきも出演している。続いて出演した、同じく野村芳太郎監督の女性映画『女たちの庭』では、高峰三枝子、岡田茉莉子、倍賞千恵子、香山美子、生田悦子ら松竹の先輩女優たちとその名を並べた。
だが、僕が女優・尾崎奈々の名前を知ることになったのは、同時期から出演していたテレビドラマであった。66年に放送を開始し70年までフジテレビ系で第7シリーズまで続いた人気ホームドラマシリーズ「お嫁さん」の第3シリーズ(67年10月4日~68年3月27日)だった。尾崎奈々は柳橋の料亭の娘から田園調布のサラリーマン家庭へ嫁ぐ〝お嫁さん〟を演じていた。相手役には「柔」「柔道水滸伝」といった当時流行っていた〝柔道ドラマ〟で人気を博した平井昌一。そのほか、笠智衆、沢村貞子、森川信、松村達雄、高峰三枝子、三ツ矢歌子らも出演していた。ちなみに第1シリーズは梓みちよと関口宏のカップル。梓みちよが歌う(第1、第4~7シリーズ)主題歌「お嫁さん」(岩谷時子作詞、宮川泰作曲)も初々しく、なんとも微笑ましい感じで人気だった。