私の生前整理

どうしよう!?この本の山

文=里中満智子

 

言い聞かせ続ける 「イザとなったときは……」

 

 私は根が暗くて心配性なので小学生の頃から年がら年中「明日、いや今夜死んでしまうかもしれない」と自分に言い聞 かせている。いくら健康でも不慮の事故もある。そして──「いつ死んでも良いように、周囲の人が困らないように片付けておかなくては」と自分に言い聞かせている。「言い聞かせている」のだ。実践しているわけではない。

 実践していないからこそ毎日のように「イザとなった時のために片付けなくては」と自分に言い聞かせている。一体何年こうして言い聞かせているのか?

 一体何が「片付かない」のか?「本」だ。  

 本は捨てられない。自分の楽しみのために読む本は、年々溜まっていく。読み 終えた本は「いつかまた読むかも」と思うので、捨てられない(実際に 20 年や 30 年ぶりに読むこともたまにある)。

 ごくたまーーーーに、「もう読まない だろう」と決心して処分する本もあるが ……とにかく溜まる一方だ。楽しみで読む本ですらこうだから、資料として読む 本は一切捨てられない。その本の中のたった一ページ、たった一行が「いつか必要となるかもしれない」のだから。

 外国に行と「いつか描くかもしれない時代の建築物、衣服、武器、生活用品 etc……」がチラッとでも載っている本があれば後先考えずに買い込む。国によっては劣悪な製本や印刷の本もあるが、それでも買う。「だって、この次は無いかもしれない、あとでやっぱり買おうと思った頃には、この国は戦場になってるかもしれないし」などと、いつもながらの心配性が頭をもたげる。だから…… 溜まる一方……。

……続きは、Vol.37をご覧ください。

さとなか まちこ

マンガ家、1948年大阪生まれ。高校2年時「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞、その後プロとして活躍。 50余年にわたり500タイトル近くの作品を描き、子供ものから大人ものまで幅広い作品を発表。歴史を扱った作品も多く、持統天皇を主人公とした「天上の虹」は32年かけて完 結した。代表作に「あした輝く」「アリエスの乙女たち」「海のオーロラ」「あすなろ坂」「狩人の星座」「天上の虹」など多数。現在、公益社団法人日本漫画家協会理事長、一般社団法人マンガジャパン代表、NPOアジ アMANGAサミット運営本部代表、大阪芸術大学キャラクター造形学科学科長等を務める。

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