ジャズ喫茶 ちぐさ
1933年(昭和8)、故・吉田衛氏が20歳の時、純喫茶「ちぐさ」を居ぬきのまま650円で買って開業した。太平洋戦争に出征中、横浜大空襲で店は焼失したが、復員後、店の常連から千数百枚のレコードを手に入れ、「ちぐさ」を再開。94年81歳で吉田氏が亡くなった後は、妹の孝子氏と有志に引き継がれるが、2007年長い歴史に幕を閉じる。しかし12年3月11日、「一般社団法人ジャズ喫茶ちぐさ・吉田衛記念館」として、有志による支援で営業再開を果たしている。〝おやじ〟と慕われた吉田氏は生涯ジャズの普及と若いミュージシャンの育成に尽くしたが、その遺志を継ぐべく、「ちぐさ賞」を制定し、優れた新人を発掘、レコーディングの機会を提供している。2冊の分厚いレコードリストから、好きな曲をリクエストできる。JAZZを愛する人たちによって運営される温かみのあるお店だ。
「ジャズ喫茶 ちくさ」は、開業90年を迎える2023年に博物館とライブハウスの機能を備えた「ジャズミュージアム・ちぐさ」として建て替える計画を2022年2月9日に発表し、野毛の地での営業は、2022年4月10日終了。「ジャズミュージアム・ちぐさ」の完成予定は2023年3月11日。
Café Bar いーぐる
四谷駅から新宿に向かう新宿通りの地下、マイルス・デイビスやルイ・アームストロングのポスターが貼られている壁を見ながら店に入ると、落ち着いた色調の空間が広がる。ジャズに関する著書も多くジャズ通に知らぬ人はいない後藤雅洋さんが1967年から始めた老舗のジャズ喫茶である。店の奥の壁に埋め込まれた大型スピーカーから迫力ある音が響く。午後6時までは基本的に会話は禁止で真剣にジャズを聴く時間だ。6時以降はバータイムになる。「創業当初から10年くらいは、上智や早稲田の大学生が多かったのですが、だんだんと年齢があがりました。90年代ジャズの停滞期もありましたが、ここにきてまた若い人が増えてきました」という後藤さん。レコード・CDを合わせ1万枚を超えるコレクションの中から、後藤さんが考え抜いた選曲は、約2時間でワンクールになっていて、曲のメニューが日誌に付けられている。「ここ数年ジャズは活性化しています。ドラマーなどの演奏技術のレベルや、グルーヴ感も上がってきています。自分の首を絞めてしまいますが、一番はコットンクラブやブルーノート東京で生を聴いてもらいたい。気に入った曲が見つかるはずです。うちは新譜も用意していますから」とも。店内は、〝ジャズの図書館〟といわれるほど書籍や資料が揃えられ、土曜の夜には「いーぐる連続講座」があってそこでは選曲された曲の解説もある。往年のしきたりを守るジャズ喫茶の醍醐味を味わうことができる店だ。
〔住〕新宿区四谷1-8 ホリナカビルB1
Café アルバート
2002年開店のアルバートには、歌とお酒が好きな人か集まる。シナトラのみならず新旧のボーカル・アルバムを主に流し、月一回、歌の勉強会も行われている。また多数の譜面、映画、ミュージカル関連の資料も用意され、約45,000曲入ったライブラリから容易に曲を取り出せて聴くことができる。12月12日のシナトラの誕生日、5月14日の命日には一日中彼の曲がかかり、彼のレシピのパスタを出すそうだ。チキンカレーパン粉焼き、発芽21雑穀のおにぎり、柚子味噌、カナッペなどの小皿/小鉢料理など家庭的なメニューが並ぶ。シナトラー家にちなんだカクテル(フランシス・アルバート、サミー、ディノ)は、夫の賢さんが作ってくれる。「シナトラを好きな人は老けません」と言ったお客さんがいるが、店内の皆さんは若々しく輝いていた。
〔住〕新宿区高田馬場3-12-11 河合ビルB1
クアトロラボ
クアトロラボは、ハイエンドのオーディオ・システムでアナログレコードの良質な音楽を聴きながら、気軽に食事やお酒を楽しめるカフェバーだ。60~ 70年代のロックをメインに、ソウル、ジャズなどアナログレコード・CDが約5,000枚所蔵されているという。スビーカー職人の野村さんが何十年とかけて作ったハントメイドのスピーカーは、ボリュームを大きくしても音が耳障りにならず、スピーカーの正面にいても会話かできる。店内のデザインもこのスピーカーの存在から決まっていったそうだ。フードメニューも充実しているか、ジョニ赤ハイボールをはじめビール、シングルモルトやカクテル、リキュールなど数多い酒類や、大人のコーヒーパフェ、チョコレートとオレンジのクレープなど、スイーツも用意されている。
〔住〕渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ B1F