所定の寄付金を納め、維持員に認められると、「維持員証」と、本場所の15日間通しの整理券が交付されます。維持員証と整理券を提示することで、最前列の溜席に立ち合うことができます。維持員本人が行けない時、直接チケットを譲り受けた代理人に限って着席できますが、やってはいけないことをきちんと伝言して渡します。
事細かくエチケット、マナーを遵守するようにしています。私など溜席では上着を着用しネクタイを外したことがありません。立会人のせめてもの礼儀だと心得ています。
以前、刑務所内でも大相撲は放映されるため、暴力団が所内の受刑者を激励するため砂かぶりに関係者が座ったことや、正面で観戦する花柳界の女性が話題になりました。クラブのママさんが自分の店の店名が浮き出た団扇をテレビ画面に映るようにしていたこともありました。「溜会」は相撲協会と協力して、そういったマナーを正していかなければなりません。
昨今、大相撲は女性や外国人にも人気で、なかなか席が取れない状態です。ましてや、土俵の一番近くで観戦できる「溜席」は多くの相撲ファンがいつかは座ってみたいと思う憧れの席です。以前、ご婦人は最前列を辞退していました。しゃしゃり出てはいけない、という感覚です。古いルールや習慣をどこまで守っていくかも現代の価値観と照らし合わせていかなければなりません。
現在力士の人数は約600人。子供たちに人気の野球やサッカーに圧されています。子供たちに大相撲の魅力を伝えながら何とか力士・関取を目指す青少年が増えていくことを願っています。
10月15日(水)~19日(日)の期間、英国ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールに於いて大相撲ロンドン公演が開催されますので、力士たちはロンドンに向かいました。来年はパリ、再来年はロサンゼルスの予定です。日本の国技が、世界でも認められるのは大変喜ばしいことです。
「格式と伝統」のある大相撲を支えるのは、私たちファンの心がけによります。矜持をもってマナーを守り観戦をして一緒に大相撲を盛り上げていきたい。本業が一段落した私にとって「大相撲」は趣味の段階を通り越し、いまでは生きがいとなっています。(談)
やまもと みちひろ
昭和13年(1938)東京生まれ。昭和36年中央大学法学部法律学科卒業。実父が創業した神田土地建物株式会社入社。元東京都不動産鑑定士協会会長。一般社団法人不動産流通経営協会理事、東京簡易裁判所民事調停委員、国土交通省土地鑑定委員会調停委員、神田税務署・麹町税務署相続税路線評価員、東京番町ライオンズクラブ会長。2023年より日本大相撲溜会会長。