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「猫」を神聖なるモチーフとし、試行錯誤で油性テンペラ技法を極めた画家・川井徳寛

 今回、海外のしかもロシアやベラルーシなどの観光客が、インスタをみて画廊を訪れるという予想だにしないことが起きました。彼らは、ロシア正教のイコンや宗教画を教会で目にする機会も多く、そこに「猫」が描かれていることに興味をもったのでしょう。猫を抱く聖女から、平和の祈りを感じたのかもしれません。これまでも、明確に平和をコンセプトにした《人類の友》というタイトルの作品を描きました。それは、数学者で、教員だった父の影響で、構造や論理を読み解くことが自然と身に付きましたが、あわせて父は戦争体験をしたこともあり、平和を愛して、戦いを憎む精神を教えられました。両親と行った教会での体験も私の中の一部になっていると思います。

左:『おはじきで遊ぶ』29.8×15.9cm(額込サイズ)油性テンペラ、金箔/木材、右:『結合した疑問符』14.5×27.6cm(額込サイズ) 油性テンペラ、金箔/木材 
額縁は絵画の「窓」となり、絵の価値を高める重要な存在である。 以前からやりたいと思っていた額縁づくりを3年前から始め、本展の作品の額縁は、全て川井さんが自ら制作したものである。
『睡眠礼賛』83.0×54.0cm 油性テンペラ、金箔/木材
猫は1日約16時間程睡眠をとると言われており、「ねこ」の語源は寝る子という説もあるほど、睡眠を象徴する動物である。眠る猫を複数描き、それぞれに光輪を付け神聖な印象を与えることで、睡眠という生物にとって大切な行為を、ユーモラスな印象は残したまま、崇高で讃えるべきものとして表現した。光輪に刻まれている花は、花言葉「眠り」の意味を持つ白いポピー。猫と人間は、お互いの体温で暖をとるため、また精神的に癒されるなどの理由で、しばしば一緒に睡眠をとる。猫と人間のお互いに利益のある関係性、相利共生も表現しつつ、ベッドを占拠されている様子からお互いの関係性のバランスも表している。

 

 目指す画家を挙げるとすれば、初期ルネサンス期のイタリアの画家、フラ・アランジェリコや、「西洋絵画の父」と呼ばれたジョット・ディ・ボンドーネです。これからも、テンペラ技法を探求し、物語性のある作品を描き続けていきたいと思います。(談)



川井徳寛さんの出品予定
ART FAIR TOKYO 20
2026年3月13日[金]ー3月15日[日]/東京国際フォーラム ホールE/ロビーギャラリー ブース番号【S031】
https://artfairtokyo.com
GYOKUEI H.P.  https://www.gyokuei.tokyo/ でも情報を発信している。

 

 

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