連載

第31回【私を映画に連れてって!】野田秀樹、鴻上尚史、宮本亞門、上西雄大ら演劇人たちが映画を創ったら?

 宮本亞門さんが30年ぶりに映画『生きがいIKIGAI』(2025/ショートフィルム)を監督し、今年公開された。能登半島地震のボランティア活動をしたことで様々な事象を目の当たりにして企画、脚本も自ら行なった。

 30年ぶり……最初の初監督映画は『BEAT』(1998)だ。亞門さんから「1995年9月の沖縄米兵少女暴行事件」をモチーフに映画を創ってみたい……が最初だったと思う。沖縄へ何度も行き、『豚の報い』の芥川賞作家・又吉栄喜さん(浦添在住)と話し合い、ストーリー(後に『波の上のマリア』として小説化)を書いてもらい、亞門さんが脚本も書いた。映画はベネチア国際映画祭・国際批評家週間に正式招待されたが、国内の興行、評価は芳しくなかった。映画としてはストレート過ぎる、演劇の人が創る映画では無いのでは……など様々な評価があった。真木蔵人、内田有紀主演でキャスト陣は頑張っていたと思うが、小さい公開を予定していたものが、こちら側の都合もあり全国公開になったことも裏目に出たような気がする。今回の『生きがいIKIGAI』はショートフィルムで、監督の想いが観客に届きやすい形はとても良いと思った。

▲1998年公開の宮本亞門初監督作品『BEAT』は、米軍統治下にあった60年代の沖縄を舞台にエネルギッシュに生きる一組の男女の恋愛模様を描いたドラマで、真木蔵人、内田有紀、永澤俊矢らが出演している。写真は右から監督・脚本の宮本、ストーリー協力の作家・又吉栄喜、筆者。

 

 今でも亞門さんの演劇人としての優れた才能を、映画でもっと活かせないかな、と時々考えることがある。

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