連載

第32回【私を映画に連れてって!】「映画は誰のものか」と考えさせられる製作委員会方式のシステムと運営

 ところが、1980年代あたりから、いわゆる製作委員会方式と呼ばれる日本独特の組合のシステムになってからは、「著作権者」が誰なのかがあいまいになってきている。これは製作委員会そのものが悪いのではなく、システムや運営に問題がある。

 ぼくが初めて製作に参加した『南極物語』(1983)も初期の製作委員会方式だった。10億円規模の製作費をフジテレビと学研が折半することで、お互いリスクヘッジをする目的は一致している。地上波であるフジテレビ、出版社である学研、ともに映画製作のプロではない。むしろ、初チャレンジと言える。一方、企画を持ち込んでくれた蔵原プロダクション(兄の蔵原惟繕監督と弟の蔵原惟二プロデューサーの制作会社)は映画のプロである。この2人がいなければ『南極物語』の映画化はなかったのである。

 製作出資金は2社であるが、現物出資の形(労働対価とも言うべきか)で蔵原プロダクションが10%の出資とみなし、権利の10%を取得する形になったのは、今から考えると良いことだったと考える。仮に、全体の権利を100とすると、フジ45%、学研45%、蔵原プロ10%である。当時興行収入100億円を超えるヒットになったので3社ともに恩恵があった。配給や宣伝を行った日本ヘラルド映画(当時)と東宝は配給手数料が主な収入だった。東宝系の劇場も潤ったことになるが。日本公開時には勢いのあったフジテレビの電波宣伝と、「科学」「学習」など生徒らにも信頼のある学研の宣伝、動員力が合わさり、大きなヒットに結び付く。そして蔵原プロの制作力が加味され、最も良い形の製作委員会だったとも言える。

▲1983年公開の日本映画『南極物語』とウォルト・ディズニー・ピクチャーズがリメイクして2006年に公開したアメリカ映画『南極物語』。日本版では、実話に近づけるため樺太犬に似たエスキモー犬が起用されたが、アメリカ版では、アラスカン・マラミュートとシベリアン・ハスキーが起用されたほか、ストーリーの流れや結末も日本版とは異なる。また、物語の中でなるべく動物を殺したくないというディズニーの意向により、死亡する犬の数もかなり少なくなっている。監督は、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』『カラーパープル』『オールウェイズ』など多くのスピルバーグ作品をプロデユーサーとして手がけているフランク・マーシャル。主演は、2013年にフィリピンの台風罹災者のための資金提供を募るチャリティイベントに出席した後、交通事故により40歳で早世した『ワイルド・スピード』などの主演で知られるポール・ウォーカー。



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