〝創立80周年記念スペシャルシリーズ〟仲代達矢、平幹二朗、市原悦子、加藤剛、栗原小巻ら名優を輩出した演劇集団「劇団俳優座」100周年への大いなる助走

▲1954年に俳優座養成所6期生として入所した市原悦子。同期には川口敦子、大山のぶ代、近藤洋介、阿部百合子らがいる。54年に劇団俳優座に入団し、『りこうなお嫁さん』で舞台デビュー。59年に『千鳥』で芸術祭奨励賞、63年に『三文オペラ』で新劇演劇賞、64年に『ハムレット』でゴールデン・アロー賞新人賞を受賞している。71年に退団。『ハムレット』は、劇団俳優座20周年記念として千田是也演出により日生劇場で上演され、ハムレットを仲代達矢、オフィーリアを市原悦子が演じた。クローディアスを小沢栄太郎、ガートルードを東山千栄子と岸輝子のWキャスト、ボローニアスを三島雅夫、ホレーショを平幹二朗、さらに、東野英治郎、永井智雄、中谷一郎、滝田裕介、近藤洋介、田中邦衛、横内正、加藤剛、長谷川哲夫、岩崎加根子、佐藤オリエら、そうそうたる顔ぶれである。千田是也も俳優として出演している。劇団俳優座の俳優たちの層の厚さを感じさせる公演である。

 創立80周年の記念公演は「伝統と革新の共生」を基本理念に15公演19作品(23年4月~26年3月)がラインアップされている。イプセン『野鴨』、ブレヒト『セチュアンの善人』などの近代劇から、瀬戸山美咲、桑原裕子、長田育恵の新作まで、多彩なラインアップとなっている。中でも24年2月に上演する『スターリン』は、落合真奈美、村雲龍一、中村圭吾の若手演出家3人が競作する刺激的な企画だ。俳優座100周年に向けての大いなる助走が始まろうとしている。


すぎやま ひろむ
1957年、静岡市生まれ。81年に読売新聞社入社。芸能部記者、文化部デスクとして30年間にわたり演劇情報や劇評の執筆、読売演劇大賞の運営などを担当。2017年に読売新聞社を退社し演劇ジャーナリストとして「読売新聞」「テアトロ」「join」などで原稿を執筆。公益社団法人・日本劇団協議会常務理事。読売演劇大賞、ハヤカワ「悲劇喜劇」賞、日本照明家協会賞の選考委員、共著に『芸談』(朋興社)、『唱歌・童謡ものがたり』(岩波書店)など。

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