劇場で成瀬映画を観よう!
今、映画館で観られる成瀬巳喜男監督映画20選
シネマヴェーラ渋谷「初めての成瀬、永遠の成瀬」
シネマヴェーラ渋谷では3月22日(土)から4月11日(金)まで「初めての成瀬、永遠の成瀬」と題して、成瀬巳喜男監督映画が20本上映される。芸道もの、女の一生もの、ホームドラマ、サスペンスなど、成瀬監督のすべてが堪能できる魅力的なラインアップだ。なかなか上映機会のない作品や、劣化したフィルムしかない作品は国立映画アーカイブのフィルムで上映、美しい映像で観ることができる。また、成瀬監督『舞姫』でスクリーンデビューした岡田茉莉子のトークショーも実施される。名匠・成瀬巳喜男の神髄に触れるまたとない機会だ。
《上映作品》
◆『鶴八鶴次郎』(1938)
出演:長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫
川口松太郎の同名小説の映画化で、長谷川と五十鈴の掛け合いで笑わせ、ほろりとさせる芸道もので名人芸が魅せる。©1938東宝 ◆『晩菊』(1954)
出演:杉村春子、沢村貞子、細川ちか子、望月優子、上原謙、小泉博、有馬稲子、見明凡太郎
林芙美子の短編小説3作をまとめた1954年度作品。芸者上がりの4人の中年女性たちの生き方を杉村、望月らが見応えのある演技で楽しませてくれる。 ©TOHO CO.,LTD.
◆『流れる』(1956)
出演:田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子、中北千枝子、加東大介田中、山田、高峰、岡田、杉村、さらに日本映画史上初のスター女優栗島を迎えた絢爛豪華な顔ぶれの、まさに女性オールスター映画と呼べる成瀬の代表作の一つ。©1956東宝 ◆『娘・妻・母』(1960)
出演:原節子、高峰秀子、三益愛子、森雅之、団令子、宝田明、淡路恵子、草笛光子、小泉博、加東大介、上原謙、笠智衆、杉村春子、仲代達矢
成瀬映画を彩った俳優たちが一堂に会したとも言える東宝オールスターによる家族劇。単なるスターの顔合わせではない味わい深い作品。©1960東宝
◆『乱れ雲』(1967)
出演:司葉子、加山雄三、草笛光子、浜美枝、加東大介、森光子、土屋嘉男、浦辺粂子、藤木悠、中丸忠雄、中村伸郎
山田信夫のオリジナルシナリオの映画化で、夫を交通事故で無くした妻(司)と加害者(加山)が恋におちる危うい関係の恋愛ドラマの傑作。成瀬の遺作となった。©1967 東宝 ◆『鰯雲』(1958)
出演:淡島千景、新珠三千代、司葉子、飯田蝶子、木村功、中村鴈治郎、小林桂樹、加東大介、杉村春子、清川虹子
成瀬が脚本家の橋本忍と初めてコンビを組んだ1958年の作品。農地改革で没落してゆく大地主一家の姿を、農家の未亡人(淡島)と妻子のある新聞記者(木村)との恋、世代による価値観の対立などさまざまなエピソードをからめて描く群像劇。©TOHO CO.,LTD.
◆『女人哀愁』(1937)
出演:入江たか子、伊東薫、初瀬浪子、佐伯秀男、堤真佐子、北沢彪、御橋公、清川玉枝
カメラが動き、扉が開閉し、顔のアップになるというスピード感あふれる場面転換はじめ、成瀬の演出が冴える1作。ラストの入江たか子が美しい。1937年公開。©TOHO CO.,LTD. ◆『旅役者』(1940)
出演:藤原鶏太(釜足)、柳谷寛、高勢實乗、清川荘司、御橋公、深見泰三、中村是好、山根寿子、清川玉枝
旅回りの一座で〝馬の脚〟役をめぐる騒動をほのぼのと描きながらも、シュールで突き抜けた味わいの1940年の作品。 ©TOHO CO.,LTD.