遊びをせんとや生まれけむⅡ

文=中村敦夫

戦争を覚えている最後の子ども

八〇歳を迎えての感慨

 

  今年二月、傘寿を迎えた。

  若いころは、何歳まで生きるだろうなどとは考えぬものである。早死はしたくないが、まあ七〇を越えたら、お迎えが来ても仕方ない……程度の覚悟だったろう。

  ところが、今や八〇歳。七〇歳の時は、さしたる感慨も湧かなかったが、今度ばかりは改めてびっくりしている。

  身体能力は明らかに劣化し、肉体の各部品にもポンコツ現象が出てきたが、日常生活が不自由というほどのことではない。

  精神年齢は、どこかで止まってしまったらしく、いまだに通俗を嫌い、社会には反抗的である。八〇歳になっても、大人になりきれないということか。
 
  私が生れたの は、一九四〇年昭和一五年)。翌年、帝国海軍は パール・ハーバーを急襲し、太平洋戦争に突入した。半年後には戦況が不利になったが、軍事独裁政権は責任を取らず、いたずらに被害を拡大し、犠牲者を増やした。

  私の父は、全国紙の東京本社に籍を置く新聞記者だった。一九四四年、 米軍による東京空襲が近いことを知り、一家は、父の実家のある福島県 郡山市近郊の村に疎開した。大きな農家の離れの一室を借り、田舎暮しをすることになった。

……続きはVol.43をご覧ください。

 
 

なかむら あつお

元参議院議員、俳優、作 家、脚本家。1940年東京 生まれ。東京外国語大学 在学中に演劇に興味を持 ち、大学を中退、劇団俳優 座に入る。65年にはEWC 奨学生演劇部門試験に合 格、ハワイ大学に留学し、アメリカ社会の研究を する機会を得る。72年に出演したテレビドラマ「木 枯し紋次郎」が空前のブームになりその後数多く のドラマで主演を務める。84年にはテレビ「地球 発22時」でキャスターを務める。現在、日本ペンク ラブ理事、環境委員を務める。著作に『チェンマイ の首』『ジャカルタの目』『マニラの鼻』『ごみを喰 う男』『暴風地帯』『簡素なる国』など。

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