遊びをせんとや生まれけむⅡ

文=中村敦夫

市原節が響く。

演技者にとって重要なのは 顔ではなく声なのだ

 

  そこそこの才があり、運に恵まれれば、一時的には俳優業にありつくことができる。小さい役が続いても我慢でき、人付き合いがうまければ、ある期間、餓死しない程度の生活はできる。
  実を言えば、俳優と名乗る人々の九〇パーセントは、このカテゴリー に入り、映画界や演劇界を支えている。
  重要な役を演じ、平均的なサラリーマンより、収入が数倍から数十倍よいのが、残り一〇パーセントの職業的演技者たちだ。
 とは言え、後世に名が残るほどの名優とかスターということになると、さらにひと握りの人々に限られる。
 で、どこが違うか?
 一般には、「美形だから俳優、女優になれば」などという会話をよく聞く。だが、これは間違いである。
  容姿は関係ない。演技者にとって 重要なのは、顔でなく声なのだ。

  声の特徴と話し方のトーンが、役者の個性と存在感を現出させる。

  今年に入って逝去された、あの市原悦子さんを思い起こして欲しい。 市原さんは、俳優座時代の私の先輩であり、後に劇団上層部と意見が合わず、一緒に退団した同志でもあった。しかし、ここでは、その詳細は省かせていただく。

……続きはVol.39をご覧ください。

なかむら あつお

元参議院議員、俳優、作 家、脚本家。1940年東京 生まれ。東京外国語大学 在学中に演劇に興味を持 ち、大学を中退、劇団俳優 座に入る。65年にはEWC 奨学生演劇部門試験に合 格、ハワイ大学に留学し、アメリカ社会の研究を する機会を得る。72年に出演したテレビドラマ「木 枯し紋次郎」が空前のブームになりその後数多く のドラマで主演を務める。84年にはテレビ「地球 発22時」でキャスターを務める。現在、日本ペンク ラブ理事、環境委員を務める。著作に『チェンマイ の首』『ジャカルタの目』『マニラの鼻』『ごみを喰 う男』『暴風地帯』『簡素なる国』など。

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