新・日日是好日

文=帯津良一

一陣の清風に勝るものなし

蘇った、密に私淑していた先輩の存在

 
  遠方からの患者さんである。それもご本人は入院中とのことで、代わりにお父上がやって来たのである。 先生のお名前は以前から知っていたという。かつて懇意にしていたT病院のA先生の口の端に二度三度上っていたのを思い出して、このた びの来院になったという。回数は少なくともそのときのA先生のこまやかな心づかいが鮮やかに思い出されて背中を押してくれたのだそうだ。
 
 えっ! T病院のA先生? 意外だった。A先生がそんなふうに私を見ていてくれたとは。もともとそれほど親しくしていたわけではない。A先生 は同じ大学の先輩であるが、彼は第二外科、私は第三外科所属が異なっていたので、親しく言葉を交わしたことはほとんどない。

  ただ、二人とも食道がんを専門にしていたので、互いに多少は意識していたにちがいない。それにしても先生は内外に勇名を轟かせていた。 学会の発表にしても研究論文にしてもじつに立派なのだ。どちらかといえば控え目な私にとってはあまりにも眩しい存在だったのである。

  やがてA先生は有名なT病院の部長として転出。今度は手術の名手として勇名を轟かせていく。彼の手術を見学しようとやってる医師が引 きも切らないという。反対に私はといえば、西洋医学の限界を感じて、 中西医結合のがん治療を旗印にした 病院を開設。その後はホリスティック医学へと歩みを進める。

……続きはVol.43をご覧ください。

 

おびつ りょういち

帯津三敬病院名誉院長。日本ホリスティック医学協会名誉会長。1936年埼玉県生まれ。61年東京大学医学 部卒業。東京大学医学部第 三外科医局長、都立駒込病 院外科医長などを経て、82 年帯津三敬病院を開設し院長。西洋医学だけでなく、中国医学、ホメオパシー、代替医療など様々な療法を駆使してがん診療に立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学の確立を目指している。 新刊は『はつらつと老いる力』(KKベストセラーズ)など。講演会、養生塾などの開催については、 http://www.obitsusankei.or.jp/ をご覧ください。

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