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映画『侍タイムスリッパー』で、2024年の日本映画界をわかせた山口馬木也が 舞台『WAR BRIDE ―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン—』への思いを語る

 

 そういえば、舞台『西遊記』では銀角という人間ではない魔王だし、藤山直美主演の舞台『おもろい女』では、くせの強い新劇俳優、山田洋次演出の舞台『さらば八月の大地』でも俳優役、大竹しのぶ主演の初演『ピアフ』での、ピアフの恋人であるボクサーのマルセル・セルダン役もしかり。さらに、『蜘蛛女のキス』のヴァレンティン役も、堀北真希や有村架純が初舞台を務めた『ジャンヌ・ダルク』でのベッドフォード公役など、いずれも日常的な役どころではない。
 多くの映像作品に出演しながら、2000年の蜷川幸雄演出の『三人姉妹』の初舞台以来、タイプの異なるさまざまな舞台に毎年のように出演を続け、舞台歴も四半世紀が経つ。


 「舞台は毎回怖いです。その場で何が起きるかわからないし、逆に何も起こらなかったらどうしようということもあります。だから、毎回あまり考えないで向き合っているという状況です」と言いつつも、
「そこに存在しているという感覚が、舞台は映像作品よりも大きな要素になっているような気がしています。映像作品と舞台とということで、演じ手としての違いはないのですが、演じているその場でお客様が感じていらっしゃる何かを受け取ることができるのは、それはやはり舞台ならではのことで、観客の反応で芝居が大きく変わったりというようなことはありませんが、観客の反応によって結果としてお客様に育てられているのだということを感じることがあります。笑いを誘うシーンではないのに、観客席から笑いが起こったりすることもあると、何故なんだろうと考える要素にはなりますので、ある意味、お客様と一緒に芝居を創りあげる、お客様と共有するというような感覚かもしれません。観客と緊張感を共有するということもありますね」と舞台ならではの魅力を十分に体感している様子がうかがえる。

 

 初舞台のとき、最低でも10年間は舞台に立ち続けなければいけないと自分を戒めたと言う。

 
「それくらい俳優として何もできませんでした。以来、25年間舞台に立ち続けている中で感じたのは、舞台は俳優としての自分のスキルを一番上げてくれる場所ではないかということです。なにしろ、観客の方たちが観ている中で、瞬間瞬間で俳優としての自分が試されているような場所ですから」


 舞台『WAR BRIDE ―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン—』での山口馬木也の芝居に観客がどのような反応を見せ、山口がどのように受け取るのか、25年という舞台生活のキャリアを積んだ今の山口馬木也だからこそ興味深い。


 「『侍タイムスリッパー』を通して改めてそうだなと気がついたことですが、やはりお客様が喜んでくださること、それが俳優・山口馬木也にとって一番の原動力だと思います。映画にしろ、舞台にしろ、観ていただかないことには完成しませんから」


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