令和に輝く男たち

俳優歴19年にして村井良大が挑む初の一人芝居 これまでの俳優人生の総決算という心持


 さらに、翻訳物だというところにも難しさを感じていると言う。


「加えて言えば、日本人のセリフとしてしゃべるのは、まだいいんですが、英語を日本語に翻訳したものをしゃべるというところにも難しさがあります。日本語になっていてもまったく違うもので、いわゆる映画の吹替みたいな、日本語英語みたいな感じというのか。英語を日本語に翻訳すると、どうしてもそういうことがあります。そこで改めて認識したのは、やはり日本語の呼吸と違うんだなということです。英語は、身振り手振りよろしく前のめりな感じがするんですが、それは、ぼく自身の生活にある言葉とは違うので、けっこう難しくて。日本語は、ちょっとひいたような感じなんですね。日本人がしゃべる日本語だとまだ大丈夫なんですが、翻訳された日本語は呼吸法がすごく難しいなと実感しているところです。翻訳物の難しさを改めて思い知らされることになるいい機会をいただけたと思っています。よほど呼吸コントロールをしないといけないなと感じましたね」



 俳優というのは、難しければそこにさらなるやりがいを感じ挑みたくなるという、やっかいな性(さが)を持つ生き物だとベテラン俳優から聞いたことがある。今、村井良大は初挑戦にどんな楽しみを見つけているのだろうか。


「もちろん楽しいところもたくさんあります。やはり一人でやることによって、新たな自分が見えてくるというのか、新たななのか、もともと自分はこうだったのかということが、わかるようになりましたね。一人でやるからこそ、見える景色も違い、自身のこともすごく見えてくるような気がしているんです。今までだと、相手役の俳優さんがいて会話で組み立てていくというか、積み上げていくというような部分があったわけですが、全部一人なので、すべてが自分のせいになってくる。自分の匙加減ですべてが決まってきます。相手のセリフによって自分のセリフの表情も変わってくるので、今までは、相手の方にずいぶん助けられていたのだなとつくづく実感しているところです。
 もともと、相手役の方の呼吸を読み取るのが好きなので、自分からこうやりたいというのはないんですよ。ですが、今回の一人芝居では、自分でこうしたい、ああしようとセルフ・プロデュースしていかなければいけないので、それが大変な体験になっているかなとは思います。ぼく自身、どちらかと言えば攻めの俳優というより受け身の俳優なので、そこがけっこう勉強になります」


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