令和に輝く男たち

俳優歴19年にして村井良大が挑む初の一人芝居 これまでの俳優人生の総決算という心持


 本作で、これまでの俳優人生で得られた経験がどのように生かされ、また、どんな新たな俳優としての側面を見せてくれるのか、村井良大には演劇界からも熱い視線が注がれている。


「やはり今まで培ってきた経験の大きさをさまざまな部分で感じています。身体の動かし方ひとつにしても言えることですが、やはりいろんな舞台を踏んできて演劇的表現ができるとかできないとか、そういうのを今まで培ってきたもので、答え合わせできているなというのはあります。
 と同時にやはり自分が今まで見たことがない景色の中で、今までの自分というものはこうだったのだなと気づかされて、これを変えなければいけないなというのを非常に思い知らされてもいます。発声方法だったり、呼吸の方法だったり、新たに得るものがとても大きいです。今までのやり方でなんとかなるなという感覚はまったくないですね。
 リドリーが描いているものが非常にわかりやすいハッピーエンドで手打ちというような物語ではないので、すごく整合性が合わなかったり、あれ、これってどうなってるのだとかという部分もあると思います。すべてを自分だけでやる一人芝居で、一つの追体験を劇場にいる全員で観るという状況では、整合性などということよりも、話はよくわからない部分もあるけどすごいものを観たというような、ストーリーは憶えていないけれどもあそこのシーンがすごく印象に残った舞台だったとか、感動にもいろんな形があって、観客のみなさんそれぞれの感動で、今まで観たことがない芝居体験を得られたと感じていただければ嬉しいですね」

 

 2006年の舞台デビュー以来、ミュージカル、ストレートプレイとジャンルを問わずさまざまな色合いの舞台作品に出演し、観客にも強烈な印象を刻み込んでいる村井良大。東宝ミュージカルの『RENT』に中川晃教がスヌーピーを演じ、村井がチャーリーを演じた『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』、石丸幹二、安蘭けいとの共演の日澤雄介演出の『蜘蛛女のキス』のバレンティン役、藤田俊太郎演出によるミュージカル『手紙』、さらに、マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出の『真田十勇士』『魔界転生』『西遊記』などがよみがえる。


 「今回のお話をいただいたときに、いままでのぼくの芝居人生の総決算だなということを思いました。そのことをやはり今稽古していても、本番の舞台に立っていても感じると思います。自分がどういう人間なのか、どういう俳優なのかというのを改めて認識できる時間になっています。ぼくの中の良し悪しが自身でもわかるようになるので、それはけっこうすごい革命だなと思っているんです。


 俳優の仕事を初めてやりますというときには、もしかしたら一人芝居からやった方がいいんじゃないかなといったことさえ考えたりもします。自分自身の俳優としての本質が見えてくる体験ができるという意味で。俳優は、その役になりきらなければいけないのに、結局根底に自分がないとその役になれない。だから自分探しという意味では非常に一人芝居は大事な機会だなと思います。
 実は一人芝居がすでにクセになっています。次という機会があれば、またやりたいですし、俳優として一人芝居を経験した方がいいとも思います。一人芝居という通過儀礼が一回でもあると、その後の俳優人生はまた違ってくるのかもしれません。自分の中で、芸能人生の中で、ターニングポイントになるような作品だと思います。今回、俳優・村井良大に対する観客の方々の視点も変わってくるかもしれないですし、なんだか丸裸な感じというのがあります。舞台上にかなりの時間一人きりでいるわけですからね」




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