第7回【私を映画に連れてって!】 待望の大林宣彦監督との初仕事に挑んだ『水の旅人 侍KIDS』公開までのスリリングな日々、そして『タスマニア物語』のこと

「さすがフジテレビ!」の声も僕自身は、そんな境地ではなかった。やっぱり、映画を作るときはパッションと志を持たなくては……。何よりまずは企画の吟味が必要だ。それから3年間は、シネスイッチも含めると10本以上の映画に携わった。シネスイッチでは『新・同棲時代』(1991)に『きらきらひかる』(1992)。その他には、『マドンナのごとく』(1990)、『波の数だけ抱きしめて』(1991)、『パ★テ★オ』(1992)、『七人のおたく』(1992)、『病は気から 病院へ行こう2』(1992)、『眠らない街 新宿鮫』(1993)。さらに、僕自身の学生時代の体験をベースにした『国会へ行こう』(1993)……etc.1993年の<おおさか映画祭>では「よく(こんなに?)やったで賞」的な「特別賞」をもらった。

▲PART1、PART2をテレビで放映し、完結篇を劇場公開するというメディアミックスの試みにより制作された92年公開の『パ★テ★オ』。旅行添乗員の菊池桃子と、考古学者の加勢大周が、香港、シドニー、ジャカルタ、インドネシア、日本各地に点在するパテオ伝説をめぐり冒険を繰り広げるサスペンス・ミステリーで、鈴木京香、松雪泰子、鶴見辰吾、佐藤慶らが共演している。監督は映画『花より男子』、テレビドラマ「愛しあってるかい!」の楠田泰之、脚本はテレビドラマ「ママはアイドル!」「もう誰も愛さない」の吉本昌弘が手がけている。写真はインドネシアでの撮影時の一枚で、筆者によると、撮影が困難な状態に陥り、スタッフィやキャストに大迷惑をかけたということだ。前列右端の筆者の隣は、昨年亡くなった俳優・宝田明さん。

 その間に、久石譲さんからコンサートのお誘いがあり、座席に付くと、隣は大林宣彦監督だった。終了後、楽屋に行くと、久石譲さんから大林宣彦監督を紹介された。『転校生』が大好きだったので、いつかこの監督と一緒に出来たら……というか、長く大林監督の音楽をやっている久石さんからは「是非、一緒に組んで!」と言われているような気がした。これが『水の旅人 侍KIDS』(1993)になる。
『タスマニア物語』で学習したことは、〝志〟とか〝信念〟を持った企画で勝負する、ということだった。
 再び、フジテレビの上司からのお達し。『南極物語』以降、フジ製作の夏休み映画が3年以上間を空けたことはない。必ず、夏休み映画を製作してきた。とのことで『タスマニア物語』から3年後の1993年の〝夏休み東宝系公開日〟が先に決定した。
 運よく『雨の旅人』(末谷真澄:著)の原作に出会えた、『ET』(1982)好きの僕には、やりたかったファンタジーものだった。しかも、末谷さんはシナリオも書いてみたとのことで、これが、とても良かった。またまた、時間もあまりなく、他に企画があるわけでもなく、すんなり決定した。そして、僕にとっては満を持して? 大林宣彦監督で行く旨の了解ももらった。ここまでは、何とツキがある人間だと思ったが、「天国と地獄は2つでセット」を味わうことになる。

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