私の生前整理

どうしよう!?この本の山

文=里中満智子

 

言い聞かせ続ける 「イザとなったときは……」

 

 私は根が暗くて心配性なので小学生の頃から年がら年中「明日、いや今夜死んでしまうかもしれない」と自分に言い聞 かせている。いくら健康でも不慮の事故もある。そして──「いつ死んでも良いように、周囲の人が困らないように片付けておかなくては」と自分に言い聞かせている。「言い聞かせている」のだ。実践しているわけではない。

 実践していないからこそ毎日のように「イザとなった時のために片付けなくては」と自分に言い聞かせている。一体何年こうして言い聞かせているのか?

 一体何が「片付かない」のか?「本」だ。  

 本は捨てられない。自分の楽しみのために読む本は、年々溜まっていく。読み 終えた本は「いつかまた読むかも」と思うので、捨てられない(実際に 20 年や 30 年ぶりに読むこともたまにある)。

 ごくたまーーーーに、「もう読まない だろう」と決心して処分する本もあるが ……とにかく溜まる一方だ。楽しみで読む本ですらこうだから、資料として読む 本は一切捨てられない。その本の中のたった一ページ、たった一行が「いつか必要となるかもしれない」のだから。

 外国に行と「いつか描くかもしれない時代の建築物、衣服、武器、生活用品 etc……」がチラッとでも載っている本があれば後先考えずに買い込む。国によっては劣悪な製本や印刷の本もあるが、それでも買う。「だって、この次は無いかもしれない、あとでやっぱり買おうと思った頃には、この国は戦場になってるかもしれないし」などと、いつもながらの心配性が頭をもたげる。だから…… 溜まる一方……。

……続きは、Vol.37をご覧ください。

かまた みのる

医師・作家。1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医 学部卒業後、長野県諏訪中央病院へ赴任。30代で院長と なり、潰れかけていた病院を再生させた。91年より約25年 間、ベラルーシ共和国の放射能汚染地帯へ100回を超える医師団を派遣し医薬品を支援してきた。04にはイラク7支援を開始、難民キャンプでの診察を続けている。東北の被災者支援にもいち早く取り組む。現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェル ノブイリ連帯基金(JCF)理事長、日本・イラク・メディカルネット(JIM-NET)代表、地域包括ケア研究所 所長、東京医科歯科大学臨床教授、東海大学医学部客員教授。主な著書に『がんばらばい』『1%の力』『だまされない』など多数。

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