バラ園だけではない世界の野鳥がやって来る谷津干潟
旧谷津バラ園は、谷津遊園内の一施設として、1957年(昭和32)5月27日に秩父宮妃殿下を迎え開園した。当時は東洋一と言われるバラ園で、最盛期には1200種以上のバラが栽培され現在も、世界各国のバラ約800種が間もなく秋の見ごろを迎える。
広い園内には、中央に噴水がありそれを囲むように皇室の高松宮家から寄贈された「高松宮コーナー」や青色の栽培は不可能といわれた「青バラコーナー」、世界的なバラの育種家でミスター・ローズと呼ばれ、谷津バラ園の設計もした「鈴木省三コーナー」、「プリンセス・ミチコ」や「クイーン・エリザベス」「プリンセス・ドゥ・モナコ」など日本の皇室や世界の王室にゆかりのあるバラを集めたコーナー、そして春バラが見事な50mほどの大アーチが2カ所ある。
バラは、その美しさだけでなく、古くから香水などにも使われてきた。甘く優雅で女性らしさを感じる香りが代表的だが、バラの香りは大きく分けて6種類あるそうだ。「ダマスククラシック」「ダマスクモダン」「スパイシー」「ブルー」「ティー」「フルーティー」の6種類の香りを、園内の「香りの庭」では一度に楽しむことができる。バラの香りは、安眠やストレス緩和にも効果があるといわれている。訪れた日の夜はきっと安らかな眠りにつけるに違いない。
谷津バラ園の秋の見ごろは、10月中旬から11月上旬である。関係者は真夏の暑い日も見頃に合わせ毎日剪定を続けている。徐々に気温が下がっていく時期に咲く秋バラは、つぼみがゆっくりと開花するので、春のバラに比べ香りも色も濃い。中でも「ローズ・50ならしの」は習志野市政50周年記念に誕生した貴重な品種である。鮮やかなオレンジ系で、花径も13cmほどと大輪で、谷津バラ園でしか見ることができない。今年は習志野市政70周年にあたり、限定70本が11月2日(土)から販売される。
谷津バラ園の南側には、東京湾に残る数少ない干潟である「谷津干潟」が広がっている。谷津干潟は、1993年(平成5)にラムサール条約登録の湿地に認定された。貝やカニ、魚が生息していて、シベリア、東南アジア、オーストラリアなど国境を越えて行き来する渡り鳥にとっては大切な中継地である。「谷津干潟自然観察センター」には、望遠鏡も備え付けられていて、野鳥の観察ができるほか、様々な体験プログラムもある。一年間に谷津干潟の周辺でみることができる野鳥は110種以上で、特に冬場はたくさんの愛鳥家たちが撮影にやってくるそうだ。
都内からも一時間弱で行くことができる「谷津」。京成本線で少し足を延ばして自然にふれてみてはいかがでしょう。
習志野市 谷津バラ園
[住]習志野市谷津3-1-14 [問]047-453-3772
開園期間により入園料が異なるが、10月1日~11月30日は、入園料(高校生以上)550円 毎週月曜日休園(月曜日が祝休日の時は翌日休園)
習志野市 谷津干潟自然観察センター
[住]習志野市秋津5-1-1 [問]047-454-8416 入園料(高校生以上)380円 毎週月曜日休館(月曜が祝休日の時は翌日休館)