四ツ木駅から京成立石駅に繋がるキャプテン翼銅像めぐり
改札付近に配布していた「キャプテン翼 銅像めぐりマップ」を片手に、9体の銅像を巡るおすすめルートを歩いてみようと、改札を出るとすぐに声をかけられた。「これ、見つけたんですよ。誰かに教えたくって」とご婦人が指さすコンビニの看板の上部に、サッカーボールが突き刺さっているではないか。なるほど、「サッカーの聖地」なのだ。
2013年「四つ木つばさ公園」に大空翼の銅像が建てられ、その後も登場人物の銅像8体が次々と建立された。マップの矢印に従い、宝探しのように銅像を見つける面白さにすっかり夢中になってしまった。まずは駅近くの「石埼了銅像」。石埼了は、「顔面ブロック」を代名詞とする翼が最初に出会う仲間だ。そして住宅街に入って、四つ木公園内には「日向小次郎銅像」、四つ木めだかの小道近くには元ブラジル代表で翼にサッカーの魅力を教えた日系ブラジル人のロベルト本郷が翼を見守る「ロベルト本郷&大空翼銅像」、葛飾郵便局の前には、翼に一目ぼれして応援団長になった「中沢早苗銅像」、渋江公園内には翼とゴールデンコンビとされた「岬太郎銅像」、立石一丁目児童遊園には、翼が両足で挟んだボールを背後に浮かせ、かかとで高く蹴り上げ目の前の相手をかわす「ヒールリフトをする大空翼の銅像」、翼の最初のライバルで、その後一緒に日本代表を目指す「若林源三銅像」、そして高橋陽一氏の母校、都立南葛飾高校正門横には「ツインシュートをする大空翼」の銅像といった具合だ。9体の銅像周辺の街並みを見ながらゆっくり歩いても2時間くらいで制覇できた。
「まいろーど四つ木商店街」の街灯にはサッカーボールがはめ込まれ、立石駅通りには、「葛飾からJリーグへ!─南葛SC」のポスターや、「わたしたちは南葛SCを応援しています」というフラッグが掲げられている。「南葛SC」は関東サッカーリーグ1部で、高橋氏が代表を務める社会人サッカークラブだ。元日本代表で海外でもプレーをした稲本潤一氏も所属し、コーチも兼任していたが、昨年12月現役引退した。「U-18」「U-16」といったクラスや、女子中学生・高校生を育成する「南葛SC WING アカデミー」など、サッカーを技術的にも学べるクラスがあり、未来の大空翼や、未来のなでしこジャパンのメンバーもここから誕生することだろう。とにかく四ツ木の街全体がキャプテン翼なのである。
昨年12月に引退したイエニスタ選手が、日本に移籍を決断するうえで重要な要素になったのが『キャプテン翼』であり、翼の生まれた国でプレーすることが喜びに感じたからだったという。2019年3月の四ツ木駅「キャプテン翼」特別装飾完成記念オープニングセレモニーの折は、オフィシャルサポーターにも任命され、セレモニーには高橋陽一氏も参加した。
昨年4月で『キャプテン翼』の43年にわたる連載は終了したが、「四ツ木駅」に来れば、「ボールは友達」を信条とする大空翼やその仲間たちに出会うことができる。「四ツ木駅」は、東京スカイツリーのおひざ元、押上駅から乗り換えなしで5分の地にあり、羽田空港や成田空港からもアクセスがいい。ファンはもちろんだが、初めて訪れる人でも、気持ちが高揚する街である。
参考文献:『キャプテン翼のつくり方』高橋陽一著