「わが昭和歌謡はドーナツ盤」の「花嫁」
60年代以降、我が出身地である京都は音楽の才能溢れるカレッジフォークのスターを多く輩出している。
バンバンのばんばひろふみ、ジローズの杉田二郎、フォーククルセダースの加藤和彦ときたやまおさむ…
中でも、フォーククルセダースで数々の大ヒットを飛ばしたきたやまおさむは、後に音楽の一線から身を引き大学教授となったが、ほんの短い期間ながらも輝かしい功績を残した。加藤和彦とのコンビは特に有名だが、ここで取り上げているはしだのりひことの共作では、「花嫁」や「風」など印象的な名曲を世に送った。「花嫁」は、テーマはいかにも昭和っぽく、命懸けてなどの言葉が重いのだが、音楽がとても調子良く、軽やかで明るく仕上がっているのが、若い2人の旅立ちを祝福するムードを作っていて何より素晴らしい。きたやまの感性と、はしだの天性の明るさがうまく合わさった作品と言えるだろう。枯れることのない、時代の空気が存分に感じられる音楽を作り上げた。