郊外住宅地・狛江の夜を愉しむ
TOWN STORY 2014年4月1月号より
世田谷区、調布市、川崎市に隣接する狛江市。
多摩川中流の左岸に位置し、昭和49年の多摩川の堤防決壊による狛江水害は山田太一さん脚本の名作ドラマ「岸辺のアルバム」のモチーフにもなった。
東京都下の区市のなかでも昼間人口よりも夜間人口が多い住宅都市、狛江。
夕刻を過ぎると、狛江駅には家路を急ぐ人が次々と降り立つ。
郊外住宅地の夜には住民だけに開かれた地元時間が流れているかもしれない。
そんな興味から、ひととき住民になったつもりで狛江の夜を愉しむことにした。おつきあいいただいたのは、俳優の丸山智己さん。時刻はトワイライトタイム。そろそろ喉を潤してもいいころだろう。
photograph by Tadashi Okakura
小田急小田原線の狛江駅は狛江市の中心に位置する。新宿から各駅停車で約30分、狛江駅に降り立った。モダンな駅舎の改札を抜け、駅前広場といった感じの北口ロータリーに出た。今回、狛江散歩をご一緒していただく俳優・丸山智己さんとの待ち合わせまでに、しばし駅前探訪。駅前広場に隣接して多摩川の伏流水が湧き出る弁財天池があり、それに接して雲松山泉竜寺という古寺がある。また、「絵手紙発祥の地 狛江」という大きな懸垂幕や横断幕が駅周辺に見られ、初めてその事実を知った。昭和56年に狛江で初めての絵手紙教室が開かれたことから絵手紙ブームが全国に広まったということで、絵手紙を通じた街づくりを推進しているらしい。そこに、丸山さん到着。丸山さんは蜷川幸雄氏、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏などの舞台のほか、映画、テレビドラマと幅広く活躍中の俳優である。