箱根で暮らした手

文=丘 みつ子

芦ノ湖畔のロープウェーの終点「桃源台」までの道が大好きだっ た、と丘さん。家のあった姥子から湖畔までは毎日のように愛犬と 一緒に散歩していたそうだ。

私を陶芸家に育ててくれた場所

 

 40年ほど前、箱根の雑木林の土地を切り拓いて別荘を建てました。東京からわずかな時間で全く違う自然の空気感が大好きでしたから。そのうち東京から住民票も移して生活の拠点をそっくり箱根にしたのは、陶芸のためでした。焼き物の原点は昔からの穴窯にあり、と箱根の傾斜地に作ったのです。 窯の火は上に這っていくものですから、敷地の傾斜が最適だったのです。 せっかく作ったモノを焼く前に壊さないためには、近くに窯が必要なのです。 お陰で個展もやれるほどになり、陶芸家としてのご評価もいただけるようになりました。

 箱根の日々は、今では懐かしく思い出されますが、忙しい毎日でした。陶芸ばかりではな家の大工仕事から菜園での野菜作りと、四季を肌に感じながら動き回っていることは、とても幸せなことでした。もちろんその間も、〝本業〟の俳優業をこなして、東京と往復していたのです。

  箱根とはいえ自然は甘くないし、敷地内の管理だけでも大変になってきたのは数年前。とにかく900坪余りもあり、周囲は原生林ですから、時にはイノシシも出るし、冬は零下10 ℃以下 になることもあります。ですから、時間が経つにつれ、夫婦二人の山の中での暮らしに終止符は来るであろうと、お互いにひとりになったときのことを 思って現在の小田原に引っ越したのです。

……続きはVol.39wo ご覧ください。

おか みつこ

1948年東京生まれ。68年日活から芸能界デビュー。映画、テレビ、舞台で活躍。40代後半、陶芸に本格的に打ち込むため別荘だった箱根に居を移す。一時マラソンやトライアスロンにも挑戦するなど女優業以外でも話題に。


good fellows

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