Vol.4
佐藤玄さん
(株式会社パルコ エンタテインメント事業部 演劇事業担当 部長)
1973年、西武劇場として開場したPARCO劇場。渋谷PARCOの建て替えにより、2016年8月7日に一旦休館となったが、それまでの43年間の上演作品は約1200作にもおよぶ。そして2020年、PARCO劇場「第二幕」ともいえる新たなシーズンが開幕した。1月24日に『志の輔らくご~PARCO劇場こけら落とし~』で無事こけら落としを迎え、来年4月まで続くオープニング・シリーズの第1作となる渡辺謙主演の『ピサロ』の初日を3月13日に控えていた頃、新型コロナウイルス蔓延の不吉な気配は演劇界にも影を落とし始めていた。2月26日、安倍晋三首相によりイベント自粛要請も発出されるなか、日々変わる状況により、その都度対応に追われることになったPARCO劇場。株式会社パルコエンタテインメント事業部で演劇事業の総括を担当する佐藤玄さんに、休館までの日々、再開の準備、そして9月、10月公演を迎えるに当たっての心境をうかがった。
――まず、佐藤さんのお仕事について教えてください。
佐藤 私が従事する演劇事業には、PARCO劇場の運営と、チケットの配券、営業、広報、それに企画・制作の3チームあります。そのまとめ役が私の仕事です。PARCO劇場は制作者が企画し、俳優や演出家、スタッフを集めて上演するプロデュース公演を実施していますが、演劇プロデューサーの仕事についてもお話しておきますと、まず劇場をどこにするのかを決めます。うちの場合は劇場を持っていますので、PARCO劇場での公演ということが前提になりますが、どんな芝居をやるのか企画を立て、この企画であればこの作家さん、この演出家さんにお願いしようという具合に進めていきます。先に演出家や作家の方たちと話をして、どういうものをやるかを決めるというケースもあります。企画を立てて、スタッフを集めて、キャスティングをして、実際チケットをどのように売っていくか、チラシ、ポスターなど、どのように宣伝していくのか、さらに、東京での公演を地方にも紹介する場合は、地方の主催者である放送局だったりイベンターさんと話を進めていきます。公演運営者として、最初から最後まで全体を見渡すのがプロデューサーの仕事ですが、うちは民間ですのでパルコとしての情報発信の意味合いもその中に含まれてきて、そこで収益を得ていくというお金の責任者でもあります。