24.05.20 update

やっぱり懐かしい!映画『男はつらいよ』の世界にひたる「葛飾柴又 寅さん記念館」

併設する「山田洋次ミュージアム」と江戸川には「矢切の渡し」

 併設されているのは「山田洋次ミュージアム」。監督デビューしたのは、1961年『二階の他人』だった。デビュー作から『男はつらいよ』誕生までの初期の時代の作品を紹介するコーナーから始まり、『男はつらいよ』以外の脚本、演劇、テレビドラマ、落語など映画監督だけではない山田監督の顔も見ることができる。そして何よりも山田監督が追い続けていた「家族」「教育」「幸せ」に対するメッセージが詰まっている。

─作り手であるぼくたちが、希望をもっていなければいけないということです。作り手が絶望していたら受け手に希望を与える映画は絶対にできないはずです─

 映画を製作することで常に挑戦し続けた山田洋次の世界に触れると、さらに『男はつらいよ』を作り続けた意味を感じるのではないだろうか。

 柴又を訪れたなら、江戸川岸まで足をのばしてみたい。「寅さん記念館」でもエンディングコーナーで江戸川沿いの桜並木が映し出され、花吹雪の景観が素晴らしかった。江戸川を柴又から向こう岸の松戸に渡る「矢切の渡し」がゆっくりと進む風景に出会うこともある。「矢切の渡し」は江戸時代初期に江戸川の両側に田んぼを持つ農民が、関所を通らずに川を往復したことから始まった。伊藤左千夫の小説『野菊の墓』の政夫と民子の悲恋の舞台としても知られ、昭和になると歌謡曲にもなった。川面を渡る手漕ぎの舟や、ヒバリ、ユリカモメの声などは、柴又帝釈天とペアで〝残したい日本の音風景100選〟に選ばれた。「矢切の渡し」は3月中旬から11月は毎日運航している。風が強かったり、雨天の場合は運休となるので、乗船したい方は確認が必要だ。

葛飾柴又寅さん記念館 
住所:葛飾区柴又6-22-19
開館時間:9:00~17:00 (入館は開館の30分前まで)
休館日:第3火曜日(ただし第3火曜日が祝日・休日の場合は、直後の平日)
及び12月第3火・水・木曜 *年末年始も営業
入館料:*山田洋次ミュージアムとの共通券
一般:500円/児童・生徒300円/65歳以上400円

矢切の渡し
営業日:3月中旬から11月は毎日、12月から3月上旬は土曜・日曜・祝日のみ、※1月1日から7日、帝釈天縁日は運航 ※荒天の場合は運休(不定休あり、要電話確認)
営業時間:10:00~16:00
お問い合わせ:047-363-9357

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映画は死なず

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