僕がかつて事務局にもいた東京国際映画祭も同様だが、やはり「作品を創って、目指す映画祭」、あるいは「賞を欲しい映画祭」、日本アカデミー賞なら「受賞することを誇りに思えること」等、「是非、参加したい映画祭」へ、もっと高いレベルの意識が必要なのであろう。
2008年、2009年、2010年の東京国際映画祭で僕がモデレーターをやり、「映画人の視点Directors‘Angle」というイベントを最も大きいスクリーン会場でやった。「岩井俊二の世界」では市原隼人さん(『リリイ・シュシュのすべて』)、伊藤歩さん(『スワロウテイル』)、種田陽平さん(『スワロウテイル』美術監督)らを呼び、舞台でトーク、その後、リクエスト投票で上位の『Love Letter』『スワロウテイル』そして『花とアリス』の上映を朝までやった。
「滝田洋二郎の世界」でもゲストを呼び、その後『コミック雑誌なんかいらない!』『木村家の人びと』『僕らはみんな生きている』を上映した。
翌、2009年「真田広之の世界」ではアメリカから本人に来てもらい、ゲストに原田美枝子さんや唐沢寿明さん、浅野忠信さんらに登壇してもらいトークした。「松田優作の世界」でも岸谷五朗さん、オダギリジョーさんらと語り合った。2010年には「種田陽平の世界」にリー・チーガイ監督(『不夜城』)や栗山千明さんなどに登壇してもらった。
東京国際映画祭は今後上映されるであろう「まだ公開前の世界の映画」を観られる絶好の機会である。プラス、過去の名作も、監督らが参加した形で味わうことも出来る。一方で、日本アカデミー賞などは、公開した映画の優秀作に賞を授与するものである。この2つの要素がうまく嚙み合ってこそ、映画の進化、発展があるものだと信じている。