24.12.24 update

第20回【私を映画に連れてって!】中山美穂は『Love Letter』で初の映画賞「ブルーリボン賞主演女優賞」を獲得した。そして、「映画祭」と「映画賞」の関係を考えてみる。

 僕がかつて事務局にもいた東京国際映画祭も同様だが、やはり「作品を創って、目指す映画祭」、あるいは「賞を欲しい映画祭」、日本アカデミー賞なら「受賞することを誇りに思えること」等、「是非、参加したい映画祭」へ、もっと高いレベルの意識が必要なのであろう。


 2008年、2009年、2010年の東京国際映画祭で僕がモデレーターをやり、「映画人の視点Directors‘Angle」というイベントを最も大きいスクリーン会場でやった。「岩井俊二の世界」では市原隼人さん(『リリイ・シュシュのすべて』)、伊藤歩さん(『スワロウテイル』)、種田陽平さん(『スワロウテイル』美術監督)らを呼び、舞台でトーク、その後、リクエスト投票で上位の『Love Letter』『スワロウテイル』そして『花とアリス』の上映を朝までやった。

「滝田洋二郎の世界」でもゲストを呼び、その後『コミック雑誌なんかいらない!』『木村家の人びと』『僕らはみんな生きている』を上映した。

 翌、2009年「真田広之の世界」ではアメリカから本人に来てもらい、ゲストに原田美枝子さんや唐沢寿明さん、浅野忠信さんらに登壇してもらいトークした。「松田優作の世界」でも岸谷五朗さん、オダギリジョーさんらと語り合った。2010年には「種田陽平の世界」にリー・チーガイ監督(『不夜城』)や栗山千明さんなどに登壇してもらった。


 東京国際映画祭は今後上映されるであろう「まだ公開前の世界の映画」を観られる絶好の機会である。プラス、過去の名作も、監督らが参加した形で味わうことも出来る。一方で、日本アカデミー賞などは、公開した映画の優秀作に賞を授与するものである。この2つの要素がうまく嚙み合ってこそ、映画の進化、発展があるものだと信じている。

▲2008年の東京国際映画祭、映画人の視点「岩井俊二の世界」では、「好きなことをやって生きていく」をテーマに、映画プロデューサーであり、東京国際映画祭のアドバイザーの筆者が司会を務め、岩井俊二監督と盛りだくさんのトークショーが展開された。



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