箱根と富士

文=遠藤 桂

冷える冬の真夜中、月光に照らされる芦ノ湖と富士  「翠-sui-」©ENDO Katsura( 箱根写真美術館蔵)

箱根に流れる時間

 

湖面に光がはしり、富士からの鼓動を感じるとてもデリケートな時間。静かに対峙し、ゆっくりと Film に記憶してゆく。月が射す夜、 微弱な光を 1 枚の Film の中に定着 させてゆく。――私にとっての箱根は、写真家として見る箱根。
 
最も魅力的な場所は、「芦ノ湖、 箱根神社、富士山」が望める元箱根湖畔と、地球のエネルギーを感じる大観山でしょう。山の中の隠れた住処で、大型カメラの8× 10 と、 HASSELBLAD と共に過ごします。

箱根からの富士山はちょうど良い 距離感があり、芦ノ湖や箱根外輪山ごしの気象の変化が写真表現に適しています。外気温と芦ノ湖の温度差により霧が出たり、日の出から日没までの様々な光の変化が堪能できま す。特に月が射す夜、言葉では語り つくせないほどの美しさを見せ、湖 面はキラキラと輝き、富士の頂には 雪が舞い、月の光で淡い色の変化を もたらします。箱根の山中では、四季折々の優しい自然が強過ぎないグ ラデーションで、箱根と富士山との対比を楽しませてくれます。

箱根に流れる時間は、とてもゆったりしています。山の上に登ってく ると感じることができる豊かな時間、雲の流れ、風の音、肌で感じる 湿度、すべてを感じ、独自の感覚表現「光のフィンガーペンティング」で時と光と色彩の変化を一枚の写真に表現してゆきます。

(‥‥‥続きはVol.32をご覧ください)

えんどう かつら

1958年箱根町出身。東京写真短期大学を卒 業後、1979年-80年ヒマラヤ・アイランドピーク冬季遠征登山・撮影、帰国後初個展。広告写真家トシ・ワカバヤシ氏に師事、1991 年独立。2002年箱根写真美術館設立、現館長。写真家として 数々の撮影プロジェクトに参加、国内外の個展で作品を発表。


新着記事

おすすめ記事

児玉清さんが遺したことば

浜美枝さんの箱根

Present

WEB限定プレゼント

Category

from Readers

Club