古くから日本の物語や和歌には多くの虫たちが登場している。『源氏物語』『伊勢物語』では、鈴虫、松虫、蛍など虫が登場し、登場人物の心情を表す重要な役割を果たしている。また草花や虫を描いて吉祥を表す「草虫図」が中国からもたらされ、将軍や大名など時の権力者たちに愛蔵され、日本の絵師たちも影響を受けた。
江戸時代に入ってからは本草学の進展や俳諧などの影響を受け、多彩な虫の絵が生み出され、江戸時代中期以降には、虫聴(むしきき)や蛍狩が庶民にも広まり現代にも受け継がれている。このように虫と人とは密接な関係があり、絵巻や着物、屏風、硯箱などの作品に愛らしい姿が描き出されている。
本展は、江戸時代に焦点を当て、第1章「虫めづる国にようこそ」、第2章「生活の道具を彩る虫たち」、第3章「草と虫の楽園─草虫図の受容について─」、第4章「虫と暮らす江戸の人々」、第5章「展開する江戸時代の草虫図─見つめる、知る、喜び─」、第6章「これからも見つめ続ける─受け継がれる虫めづる精神─」の6章から構成される。本展から日本の「虫をめづる文化」を改めて見直したい。
「虫めづる日本の人々」展
会期:2023年7月22日(土)~9月18日(月・祝)
※作品保護のため、会期中展示替がある
会場:サントリー美術館(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階)
開館時間:10:00~18:00
※金・土および8月10日(木)、9月17日(日)は20:00まで開館 ※いずれも入館は閉館の30分前まで。
休館日:火曜日(ただし9月12日は18時まで開館)
入館料:・当日券:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/