24.07.02 update

一日はホテル内で寛ぎ、翌日は自然に触れる箱根リゾートの過ごし方

帰りたがらない子供たちを見送る喜び

 当ホテルも平日は7割ほどが訪日の外国人で、なかでも欧米方面からの観光客でにぎわっています。特に海外のお客様に人気なのが、オールインクルーシブの料金体系です。宿泊代金にホテルの食事やドリンクなどの料金が含まれています。外国からのお客様は、食事の後、ラウンジでアルコール類などを召し上がりながらゆっくりと過ごされます。宿泊費の他に別にかかる費用を気にしないで飲食を楽しんでいただけます。これは、箱根では先駆的なサービスでしたが、このサービスを取り入れる施設も多くなり、後発に負けないようにバーションアップを工夫しています。材料費の高騰もあり、コロナ前に比べるとお客様からお預かりする金額も多くなっていますので、その分満足していただけるような工夫を心掛けなければなりません。

 一昨年、わが家の3人の子供たちを当ホテルに連れてきたことがあります。手前味噌のような話になってしまいますが、本当に子供たちが楽しかったようで、「パパのホテルにまた連れてって」と言い続けています。「小さいお風呂に足だけ入ったり、本がいっぱいあって、たくさんお菓子やジュースが飲めるんだよね」と嬉しそうに話すのです。

 ある3世代の家族で宿泊されたお客様ですが、特にお孫さんが大満足だったようで、チェックアウトのとき、「帰りたくない」と泣かれて、目を細めているお祖母さんの顔が忘れられません。子供たちに泣かれるくらい気に入ってもらえたことは、私どもにとって本望です。きっとその子供たちがファンになって、「輪」が拡がっていくに違いありません。

「一泊ではもったいないです」と、おっしゃるお客様も多いです。というのは、ホテル近辺には、「箱根彫刻の森美術館」や「箱根美術館」などアート施設や、歩いて10分ほどの「強羅公園」は、自然が豊かで季節の鮮やかな花々を愛でることもできますし、陶芸や点茶、クラフト体験もできます。一日は館内でゆっくりし、もう一日は強羅周辺を散策して楽しんでいただきたいです。この時期は、箱根登山電車に乗っていただけると、色とりどりの紫陽花に見惚れることでしょう。季節の移ろいを肌で感じることができるのも箱根の魅力です。昨年日帰り温泉や宿泊で箱根町を訪れた観光客は1900万人を超え、新型コロナ感染症拡大前の9割程度に回復し、活気のある箱根になりました。一人旅の方も、家族連れの皆さまもそれぞれが寛げるホテルをスタッフ一丸となって充実させていきます。(談)

 


きたはら のぶき
1972年神奈川県生まれ。92年小田急リゾーツ入社。「山のホテル」「箱根ハイランドホテル」「ポーラ美術館」「藤沢ゴルフ倶楽部」「テル箱根クラブ」などの料飲部門にて勤務。2024年1月「箱根 ゆとわ」支配人
「箱根 ゆとわ」
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-27
℡.0460-82-2321
HP.https://www.hakoneyutowa-hotel.jp/

1 2

映画は死なず

新着記事

  • 2024.11.21
    「星影のワルツ」「北国の春」という2つの大ヒット曲...

    千昌夫「夕焼け雲」

  • 2024.11.20
    能登の子どもたちや被災者を、美しい音楽で励ましてく...

    被災者に勇気を与えるウイーン・フィルの活動

  • 2024.11.20
    指揮・坂本龍一✕東京フィルハーモニー交響楽団による...

    坂本龍一の伝説のコンサートを映画館で!

  • 2024.11.19
    ベートーヴェン「第九」初演から200周年の記念すべ...

    12月31日特別先行上映、1月3日から1週間限定公開!

  • 2024.11.19
    敷寝具から枕まで世界最大級の熟睡ブランド、〈マニフ...

    特別モデル【エコ サンドロ】限定3000台の予約開始!

  • 2024.11.18
    公募展の発祥地〈東京都美術館〉のテーマは「ノスタル...

    芸術活動を活性化させ、鑑賞の体験を深める

  • 2024.11.18
    女優「高峰秀子」と妻「松山秀子」─日本映画史に燦然...

    高峰秀子という生き方

  • 2024.11.15
    本格イタリアンをご家庭で、日清製粉ウェルナの「青の...

    応募〆切: 12月20日(金)

  • 2024.11.15
    京都のグンゼ博物苑で、昭和の激動時代の魅力を伝える...

    グンゼの創業の地で、「昭和レトロ展」

  • 2024.11.14
    「嵐」と並ぶシングル58曲連続トップテン入りを果た...

    THE ARFEE「メリーアン」

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!