23.01.18 update

青春映画で花開いた愛くるしい笑顔と透き通った歌声の東映アイドルスター 女優・本間千代子

 本間千代子は、幼稚園時代からNHKの「うたのおばさん」で知られる安西愛子に童謡を習い、小学校時代には、後に姉の夫となり、シンセサイザー・アーティストとして世界的に活躍をする、当時高校生の冨田勲に音楽を習っていたという。ひばり児童合唱団にも通い、小学5年生でコロムビア専属の童謡歌手としてレコードをリリースしている。東映児童研修所の一期生でもあり、卒業後は東映児童劇団に進み、その後東映に入社し、児童向けの教育映画などにも出ていた。本格的な女優デビューは、61年公開の高倉健主演映画『恋と太陽とギャング』で、本間は千葉真一の妹役だった。だが、清純派本間千代子の魅力が花開くのは、やはり青春映画の中だった。64年には、日本映画製作者協会選定のエランドール賞の新人賞を、市川染五郎(現・松本白鸚)、加藤剛、松原智恵子、藤村志保らと共に受賞している。

 また、63年にリリースした「純愛の白い砂」、64年の「愛しあうには早すぎて」もヒットし、童謡歌手でもあった澄んだ歌声に、年頃の甘さが加わって、男性ファンの心を掴んだ。プロマイドの売上も、64年は、女性では吉永小百合に次ぐ2位だった。高田美和が5位に、姿美千子が10位にランキングされている。ちなみに男性売上1位は舟木、2位は西郷だった。本間は、「平凡」「明星」「近代映画」などの雑誌の表紙にも数多く登場している。

 僕が最後に劇場で観た本間千代子の映画は66年公開の、東映初の本格的特撮映画『大忍術映画ワタリ』だった。小学6年生のときだった。特撮映画に惹かれて友だちと一緒に観に行ったことを憶えている。この年に本間は、歌手の守屋浩と結婚し(後に離婚)、「週刊平凡」「週刊明星」といった雑誌のグラビアをにぎわせていた。忍術と言えば、64年から65年に放送されていたテレビアニメ「少年忍者風のフジ丸」を夢中になって観ていた。第1シリーズの番組の最後に、〝忍術おじさん〟こと戸隠流忍術34代目継承者の初見良昭氏が、忍術を解説するミニコーナーがあり、僕たち小学生に人気だった。聞き手を務めていたのが、本間千代子だった。

 昨年、舟木と共演した映画『君たちがいて僕がいた』と『夢のハワイで盆踊り』を見直す機会があった。『君たちがいて~』には、千葉真一、堺正章、佐野周二、高峰三枝子ら、『夢のハワイで~』には、笠智衆、加藤治子、堺正章らも出演していた。本間が演じるのは、いずれも快活で、利発で、ちょっと生意気な、石坂洋次郎作品に出てくるような魅力的な高校生、大学生の役どころで、本間の透き通った甘い声がチャーミングだった。本間千代子もまた、昭和の銀幕で輝いた可憐な花だったのだと、実感した。

文=渋村 徹


企画協力・写真提供:マルベル堂
※プロマイドの老舗・マルベル堂では、原紙をブロマイド、写真にした製品を「プロマイド」と呼称しています。ここではマルベル堂に準じてプロマイドと呼ぶことにします。

マルベル堂
大正10年(1921)、浅草・新仲見世通りにプロマイド店として開業したマルベル堂。2021年には創業100年を迎えた。ちなみにマルベル堂のプロマイド第一号は、松竹蒲田のスター女優だった栗島すみ子。昭和のプロマイド全盛期には、マルベル堂のプロマイド売上ランキングが、スターの人気度を知る一つの目安になっていた。撮影したスターは、俳優、歌手、噺家、スポーツ選手まで2,500名以上。現在保有しているプロマイドの版数は85,000版を超えるという。ファンの目線を何よりも大切にし、スターに正面から照明を当て、カメラ目線で撮られた、いわゆる〝マルベルポーズ〟がプロマイドの定番になっている。現在も変わらず新仲見世通りでプロマイドの販売が続けられている。

マルベル堂 スタジオ
家族写真や成人式の写真に遺影撮影など、マルベル堂では一般の方々の専用スタジオでのプロマイド撮影も受けている。特に人気なのが<マルベル80’S>で、70~80年代風のアイドル衣装や懐かしのファッションで、胸キュンもののアイドルポーズでの撮影が体験できるというもの。プロマイドの王道をマルベル堂が演出してくれる。
〔住〕台東区雷門1-14-6黒澤ビル3F

読者の皆様へ
あなたが心をときめかせ、夢中になった、プロマイドを買うほどに熱中した昭和の俳優や歌手を教えてください。コメントを添えていただけますと嬉しいです。もちろん、ここでご紹介するスターたちに対するコメントも大歓迎です。



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