一年前から稼働していた
公演中止の打撃は大きい
――4月7日に公演を中止せざるを得ない、演劇界にとって決定的とも言える緊急事態宣言が発出されたとき、劇団のみなさんの胸にどんな思いが去来し、具体的にどんな対処を強いられることになりましたか。
坂本 3月から劇団で今後の方針を話し合ってきましたが、しばらく公演は難しそうだなと、なんとなくみんな感じていました。『四角い2つのさみしい窓』のいわき公演を4月、三重公演を5月に予定していましたが、3月の段階で劇場と話し合い、なんとか延期を調整していただきました。6月末からは東京芸術劇場 シアターイーストで新作の『ロマンティックコメディ』を上演する予定でしたが、劇場とも協議の上、6月に入って中止を発表しました。
――公演中止による金銭などの具体的な打撃というものは、どんな様子だったのでしょうか。
三浦 まだいろんなことが動き出す前のタイミングだったので、金銭的な負担は少なくて済みました。まあ、動き出してからだと損害も大きいので、早めに中止を決めたというところもあります。ただ、制作のももちゃん(坂本)と奥山は一年以上前から、予算を立てて助成金を申請したり、スケジュールを組んでツアーの調整をしたり、劇場やスタッフ、キャストとのやりとりなど、公演に向けての仕事は始まっていたわけです。僕自身はまだほとんど稼働してなかったけど、2人はとっくに稼働していて、中止になったらなったで、やらなきゃいけないことは増えるし、でもそれに対する収入はないし、っていうような状況で、2人が一番大変だったろうなと思います。
奥山 確かに、中止したからって仕事が減るわけじゃないしむしろ増えて、「けっこう大変です!」ってメンバーに言った記憶ありますね(笑)。
坂本 私は2月末に別の公演で韓国のソウルにいて、ちょうど大邱(テグ)で宗教団体のクラスター感染があったばかりで。韓国の状況を見ていたので、公演実施はかなり難しいだろうなと、割と早いうちから思っていました。ワクチンもしばらくは期待できなそうだし。なんとかむりやり公演しようというよりは、中止になった場合どこからお金を引いてくるかとか、どうしたら関係者に少しでもお金が払えるかとか、算段をつけていく方にいち早くシフトチェンジしましたね。
――もし、稽古も始まっていて、美術などを外部に発注している状況で中止になったとしたら、どの程度の負債が発生していたと予想されますか。
坂本 時期にもよりますが、数百万円だと思います。
奥山 もしそうなったら、劇団を続けていくのはキツかったと思いますね。