国立科学博物館附属 自然教育園
中世の豪族の館に始まり、江戸時代は高松藩主松平頼重の下屋敷、明治時代は陸・海軍の火薬庫、大正時代には白金御料地と、一般の人々が足を踏み入れることができなかったこの地の環境により、まれにみる豊かな自然が残ることになった。一般に公開されるようになったのは、昭和24年に全域が天然記念物、史跡に指定されてからのこと。武蔵野を代表する四季折々の植物を、それぞれの生育に適した場所で観察できる。
〔住〕港区白金台5-21-5 〔問〕03-3441-7176
日比谷公園
明治36年に日本初のドイツ式洋風近代式公園として開園した日比谷公園。霞が関、銀座エリアに働く人々にとっては、ベンチで弁当を食べたり、束の間の昼寝を楽しんだりと憩いの場である。その光景は『社長太平記』など多くの昭和の映画にも登場する。公園設計として特筆すべきは大小の野外音楽堂や公会堂の存在だろう。ここでもまた、黒澤明監督『素晴らしき日曜日』の場面が思い出される。東京人の日常生活に寄り添う公園である。
〔住〕千代田区日比谷公園
池田山公園
御殿山、島津山、八つ山、花房山とともに城南五山の一つに数えられる池田山。江戸時代は将軍家や大名家の別荘地だった歴史と伝統の地である。その後は山の手有数の高級住宅地として知られるようになり、今でも閑静という表現が似合う土地である。公園は高台を生かしたかなりの高低差がある造りで、池や滝を配した回遊式庭園スタイル。夏の緑、秋の紅葉は格別で、まさに日本画の風雅に魅せられる。
〔住〕品川区東五反田5-4-35 〔問〕03-3447-4676
有栖川宮記念公園
忠臣蔵で有名な浅野家の下屋敷があったところで、近くには南部坂があり「南部坂雪の別れ」の件を思い出させる。大通りから一筋入るとこんなに風景が変わるのかと思えるほど、公園の池や渓流のたたずまいは静かで、都心であることを忘れさせる。名作熾仁親王の騎馬像のほか、新聞配達の少年像に舟越保武氏作「笛吹き少年の像」もある。また園内には都立中央図書館や麻布運動場が併設されている。
〔住〕港区南麻布5-7-29〔問〕03-5114-8803(協働推進課土木係)
環境省 国民公園 新宿御苑
信州高遠藩主・内藤氏の屋敷があったこの地に、新宿御苑が誕生したのは明治39年のこと。園内にはフランス式整形庭園、イギリス風景式庭園・日本庭園などそれぞれに意匠を凝らしrこ計画庭園があり、四季を通じて都会人たちの憩いの場となっている。この大きな森から周囲を見渡せばそこにはビル群が。御苑は東京人にとってまさしく都会のオアシス。それはニューヨーカーにとってのセントラル・パークの存在に似ている。
〔住〕新宿区内藤町11〔問〕03-3350-0151
おおたかずひこ
エッセイスト。著書に『自選・ニッポン居酒屋放浪記』『居酒屋道楽』『居酒屋百名山」など。近郊で一番好きな公園は横浜の山下公園。埠頭海際の設計、鉄の手摺り、クラシックなベンチがエキゾチック。近著は、『70歳、これからは湯豆腐』(亜紀書房)、『家飲み大全』(大和書房)。他数冊の刊行が予定されている。