シリーズ インタビュー
PEOPLE frontline
Vol.1
舟木一夫
詰襟姿で鮮烈なデビューを飾った18歳が、
2022年には芸能生活60周年を迎えるという。
舟木一夫は、60年間「高校三年生」を歌い続けてきたのだ。
12月12日で喜寿を迎える舟木は、現在も全国でコンサートを開催し、
コロナ禍以前には、年間約30万人の観客が、会場に足を運ぶ盛況ぶり。
舟木がもうひとつ力を注いでいるのが、舞台での娯楽時代劇の上演だ。
1997年に初登場以来、現在新橋演舞場をメインとし、
本年も12月に、通算18回目となる当劇場にて特別公演を上演する。
演目は浅田次郎のベストセラー小説を舞台化した『壬生義士伝』。
舟木は主人公の吉村貫一郎という〝義〟に生きた男を演じる。
そして、第二部の昼・夜別構成のシアターコンサートで、
観客たちは舟木と一緒に一気に60年という時をあの頃に遡る。
芸能最前線で活躍を続ける舟木一夫の今の言葉をお届けしよう。
文=二見屋良樹
協力=新橋演舞場宣伝部、松竹写真室
新型コロナウィルス問題により、昨年来、多くの芝居公演が中止や延期を余儀なくされた。中には、総稽古も済ませ、初日を迎えるばかりという段階で中止となった公演もあった。昨年9月に実施を予定されていた、新橋演舞場での『舟木一夫特別公演』も、延期を余儀なくされた。いつまで、という期限の見えない中での延期という決断だった。実は、弊誌「コモ・レ・バ?」でも2020年7月1日号の表紙には、舟木一夫さんと、初共演となる高橋惠子さんにご一緒に登場いただくことが決定していたが、公演の延期と共に実現がかなわなくなり、弊誌の発行もしばらくの間、見合わせることが決定し、現在もWeb版でお届けしている状況である。
いまだに再開の目処が立たない公演も多いなか、12月3日、まさに満を持して『舟木一夫特別公演』の幕が上がることになった。弊誌でも、Web版にて、4年ぶりに舟木一夫さんにご登場いただくことが実現した。今回の公演中に喜寿を迎え、来年は芸能生活60周年というアニバーサリーイヤーを控えているが、舟木さんの年代で大劇場での一か月公演の座長を務める現役ぶりには目を見張らされる。 「観客数などもまだ以前通りというわけにはいかない状況ですが、コロナ問題を機に新たな形態の仕事環境が推奨されるなど、人々の生活スタイルが見直された結果、それが現在の時流に合ったものとして、コロナ収束後でも存続していきそうな傾向が見られます。芸能の世界でも、試行錯誤しながらコロナ禍なりの芝居の上演形態や、ライブのありようなどが試みられています。コロナが収束したからといって、すべてがコロナ以前と同じような興行形態で、お客様が戻ってくるかと言えば、そうではないのではないかと。ならば、自分たちが少しでも歩みを進めていくことで、新しい興行形態というものが出てくるかもしれない。そんな思いが今回の公演の実現につながりました。誰かが動くことが、それぞれの時代に副ったありようの基になってくるんじゃないでしょうか」