22.07.14 update

「もの派」を代表する美術家の大規模な回顧展「国立新美術館開館 15周年記念 李禹煥」展 

 国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年生)の東京では初めてとなる大規模な回顧展が国立新美術館で開催される。

李禹煥、鎌倉にて、2022年 
Photo© Lee Ufan, photo: Shu Nakagawa


 本展は、李禹煥が自ら展示構成を考案し、1960年代の初期の作品から最新作まで、李の仕事と経過と性格を網羅的に浮き彫りにするものとなっている。「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会す。また、李の創造の軌跡をたどる過去の作品とともに、新たな境地を示す新作も出品される予定である。

《線より》 1977年 岩絵具、膠/カンヴァス 182 × 227 cm 
東京国立近代美術館

 また、本展の音声ガイドナビゲーターは、俳優の中谷美紀さん。音声ガイドは、無料。スマートフォンで利用できる。中谷さんからは、下記のメッセージが寄せられた。

この上なくシンプルな点や線、そして石や鉄板などで表される李禹煥さんの作品は、溢れた物や情報に埋もれて息苦しく感じている現代に生きる私たちの心身を解き放ってくれます。俗に言う肖像画や静物画、風景画などは一切ありませんが、点や線の周囲に贅沢に残された余白こそが饒舌に語りかけてくるような気がしています。私にとって李禹煥さんの静かで厳かな作品は、心の拠り所であり、少しがんばりすぎたり、急ぎすぎた際に、ふと立ち止まって、自らを省みるための鏡のようでもあります。
これらの作品群を鑑賞する際に、決して正解はありません。ご覧になる方が思い思いに作品と向き合い、対話し、斜めから眺めてみたり、かがんで見上げてみたり、時には彫刻作品の上を歩いてみたりすることで、これまで生育過程や社会で植え付けられてきたステレオタイプな価値観を疑ってみる機会となるのではないでしょうか?

国立新美術館開館 15周年記念 李禹煥

会 期:2022 年8 月10 日(水)~11 月7 日(月)
会 場:国立新美術館 企画展示室1E(〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2)
休 館 日:毎週火曜日
開 館 時 間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00 まで (入場は閉館の30 分前まで)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料(税込):一般1,700円、大学生1,200円、高校生800円
※中学生以下は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1 名を含む)は入場無料。
販売方法等の詳細については展覧会ホームページをご覧ください。
展覧会ホームページ https://LeeUFan.exhibit.jp/


*巡回情報 兵庫県立美術館:2022 年12 月13 日(火)~2023 年2 月12 日(日) ※各会場によって一部展示作品が異なる。


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