24.01.29 update

ジョニー・デップのルイ15世と、ヴェルサイユ宮殿を牛耳った公妾デュ・バリー夫人との愛と波乱の物語『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』の見どころ

 絢爛豪華な18世紀のヴェルサイユ宮殿を舞台に、ルイ15世と公妾のデュ・バリー夫人の愛と波乱万丈の物語が、2月2日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ他全国でロードショーとなる。

 フランス国王・ルイ15世の公妾(公式の愛人)として社交界の華と称えられたポンパドォール夫人亡きあと取り立てられたのがデュ・バリー夫人こと、ジャンヌ・デュ・バリーである。

 フランス、シャンパーヌ地⽅の貧しい家庭に私⽣児として⽣まれたジャンヌだが、母とパリへ出て娼婦のような生活を始めるとその美貌と知性で次々に男たちを虜にしていく。ついには、国王ルイ15世の公妾にまでのぼりつめるのだ。ルイ15世の孫で、ルイ16世に嫁いできたマリー・アントワネットとの確執が舞台や映画でも取りざたされる人物だが、彼女はほんとうに悪女だったのだろうか、なぜルイ15世がデュ・バリー夫人に惹かれたのか、今までのデュ・バリー夫人像とはまた違う新たな像が描き出された作品である。

 本作の見どころの一つは、監督のマイウェンが、自らデュ・バリー夫人を演じていることだ。マイウェンは、『殺意の夏』(83)ではイザベル・アジャーニが演じた子供の役を演じるなど女優としてのキャリアも長い。ソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』(2006)を観て、ジャンヌに魅了された監督はジャンヌの伝記を読み漁り、約10年の構想を経て脚本作りに3年をかけたという。そして、ルイ15世をジョニー・デップが演じることに決まるまでも、意中のフランス人俳優に断られるなどキャスティングにも時間がかかった。しかし、災い転じて福となすというのは、このことだろう。ジョニー・デップは、ルイ15世にはまり役だった。ルイ15世のもつロマンチックな側面や、繊細さがジョニーに重なり、何よりも華やかさがある。全編にわたりフランス語で演技をすることはもちろんのこと、ジョニーは、ルイ15世が、好んだ食べ物や飲み物から始まり、日常生活の逸話など、かなり詳細な伝記を読んでルイ15世の人生を演じたのだ。

 最大の見どころは、リアルなヴェルサイユ宮殿の「鏡の回廊」や王室礼拝堂、広大な庭園などを舞台に、豪華な衣装を身に付けた俳優たちが、18世紀の王室を再現する。加えて衣装はシャネルの大々的な協力によるもの。2023年の第76回カンヌ国際映画祭でオープニングを飾り、フランスでは観客75万人という大ヒットを記録した。
 本作は、監督のマイウェンのこだわりから、35mmで撮影を敢行された。独特の質感や雰囲気があり「映画」らしさを感じさせる粒子の粗さはもちろん、フィルムの節約ために、出演する俳優たちにとってミスが許されない緊張感が生まれているし、ヴェルサイユ宮殿のプレッシャーに匹敵するようなインパクトを俳優たちに与えたとマイウェン監督は語っている。

 

 マイウェン監督のジャンヌへの思いが10余年の時を経て実を結んだ『ジャンヌ・デュ・バリー  国王最期の愛人』。ヴェルサイユ宮殿の中にいるような錯覚を覚え、18世紀のフランス王室を堪能できる夢のような116分である。


『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』
2024年 2 ⽉2⽇(⾦)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
配給:ロングライド
(C)2023-WHY NOT PRODUCTIONS-FRANCE 2 CINEMA- FRANCE 3 CINEMA-LA PETITE REINE-IMPALA PRODUCTIONS
(C)Laurent Dailland ©Stéphanie Branchu – Why Not Productions
[HP] https://longride.jp/jeannedubarry/


映画は死なず

新着記事

  • 2024.03.01
    今から準備、青森県内の美術館5館によるアートフェス...

    青森県で現代美術を楽しむ!

  • 2024.03.01
    金塊強盗からスーパースターへ!信じられないような実...

    応募〆切:3月25日(月)

  • 2024.03.01
    森美術館 ブラック・アートと日本の「民藝」の融合、...

    4月24日(水)~9月1日(日)

  • 2024.03.01
    なぜ世田谷区はアーティストの街になったか。「世田谷...

    山口蓬春、植草甚一、舟越保武らも

  • 2024.02.29
    美空ひばり、成城の通りで歌う! 〝成城ロケ映画〟の...

    文=高田雅彦

  • 2024.02.29
    『ブギウギ』の淡谷のり子のドレスアップと重なる燕尾...

    東映映画『国定忠治』の名文句が忘れられない

  • 2024.02.28
    小林武史、三上博史、山口智子、種田陽平……映画『ス...

    文=河井真也

  • 2024.02.28
    破天荒なドイツのラッパーのサクセスストーリー!『女...

    3月29日(金)より全国順次公開

  • 2024.02.27
    芝居はボケ防止になるという話─萩原 朔美の日々 ...

    楽屋での雑談もまた楽し

  • 2024.02.27
    森ビルの「ヒルズ街育プロジェクト」が文部科学大臣賞...

    森ビルの街づくりが表彰される!

特集 special feature 

わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の  「芸業」

特集 わだばゴッホになる ! 板画家・棟方志功の 「芸業...

棟方志功の誤解 文=榎本了壱

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

特集 VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

特集 放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

特集 「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

特集 人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

特集 ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

特集 没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

「芸術座」という血統

特集 「芸術座」という血統

シアタークリエへ

喜劇の人 森繁久彌

特集 喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

特集 映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

昭和歌謡 「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

特集 故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

特集 仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

特集 挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

特集 御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

特集 寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

特集 アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

特集 東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「花椿」の贈り物

特集 「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

特集 俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

特集 秋山庄太郎 魅せられし「役者」の貌

役柄と素顔のはざまで

秋山庄太郎ポートレートの美学

特集 秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

特集 久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

特集 加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

特集 昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

特集 西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

特集 「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

特集 川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

特集 ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

特集 中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

特集 向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

information »

new 森ビルの「ヒルズ街育プロジェクト」が文部科学大臣賞を受賞

都市 森ビルの「ヒルズ街育プロジェクト」が文部...

森ビルの街づくりが表彰される!

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives

PEOPLE frontline Vol.1

PEOPLE frontline Vol.1

PEOPLE frontline Vol.2

PEOPLE frontline Vol.2
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!