脚本家を目指して大学院まで進学しながら、デビューが叶わず今は葬儀場での弔辞の代筆で生計を立てている主人公のウェン・シャン(フー・ゴー)の心の軌跡と再生の物語『来(こ)し方 行(ゆ)く末』が、2025年4月25日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開となる。
ウェン・シャンは、北京郊外の集合団地の日当たりのよくない部屋で同居人のシャオイン(ウー・レイ)と暮らしている。外のベンチに野良猫用の餌を置き、定期的に足を向けるところは、宮廷のような巨大な葬儀場とどこか寂し気な動物園。いつから始まったのか、彼はもう何年も葬儀場で永久の別れの光景を眺め、囲いの中の動物を観察し続けている。
最初は自身の創作のためだった。茶処として有名な故郷から北京へやってきて、大学院にまで進んで脚本を学び、卒業後は華々しくエンタメ業界で活躍するはずだった。長い間、帰郷を避け故郷の母からの電話には、「人気テレビの脚本チームにいて、仕事は順調だ」と嘘を重ねる。その様子を見て、本当のことを伝えるべきじゃないかと、シャオインは無言で抗議する。
葬儀場の職員、パン・ツォンツォン(バイ・コー)はウェンの良き友人、良き理解者のひとりだ。葬儀場に集まる人の観察ノートを書き連ねていたウェンを見初め、弔辞の作家としてスカウトする。
ウェンのところには、同居していた父親との交流が少なかった男性、共に起業した友人の突然死に戸惑う会社員、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性など、さまざまな依頼人が訪れる。彼らの話を丁寧に聞き、現場を訪ねるウェン。
ミドルエイジにさしかかる年齢で、自分の生き方を模索していたウェンは、依頼主たちとの交流によりゆっくりと再生していく。弔辞作家の日常というユニークな題材を軸に、人々の人生模様や死生観を繊細に織り込んだヒューマンドラマが誕生した。
主人公を演じたフー・ゴー(胡歌)は、国民的人気俳優で、2006年のドラマの撮影中に交通事故に遭い顔面の重傷を受けたが、懸命なリハビリと努力でのりこえた経歴がある。華やかな時代劇スターから、近年は映画『チイファの手紙』(2018)や『鵞鳥湖の夜』(2010)での内面を掘り下げた演技で芸域を広げ、そのひとつが本作のウェン役である。ウェンの日常に静かに寄り添うシャオイン役のウー・レイ(呉品)は近年ではグー・シャオガン監督の『西湖畔に生きる』(2023)で、マルチ商法にはまる母親を救い出そうとする息子役で注目を集めた。本作は二人が3度目の共演となった作品である。
監督は、中国映画界の俊才と言われているリウ・ジアイン。14年ぶりの新作でありながら、第25回上海国際映画祭で最優秀監督賞・最優秀男優賞を受賞した。



『来(こ)し方 行(ゆ)く末』
©Beijing Benchmark Pictures Co.,Ltd
配給:ミモザフィルム
キャッチコピー:あなたのさよなら、代筆します。
2025年4月25日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
【公式サイト】https://mimosafilms.com/koshikata/
ムビチケプレゼント:3名様
応募〆切:4月20日(日)
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