23.08.30 update

第30回 【成城シネマトリビア】 司葉子、星由里子、浜美枝ら東宝映画の女優たちも歩いた成城の桜並木 Vol.2

 他には、久慈あさみが青柳信雄監督作の『チャッカリ夫人とウッカリ夫人 夫婦御円満の巻』(56年)で石井食料品店=現在の成城石井を買い物に訪れたり、『続社長千一夜』(67年/松林宗恵監督)で司葉子と共に東横学園小学校(現東京都市大学付属小学校)のグラウンドに現れたりしているが、やはり桜並木には足を踏み入れていない。一度は、森繁‶社長‶と連れ立って桜並木を歩く姿を見たかったものだ。

 一時、成城の住人だった星由里子が成城の桜並木通りにある家に住む設定だったのが、『国際秘密警察 火薬の樽』(64年/坪島孝監督)というアクション映画。前作まではシリアスな雰囲気のほうが勝っていた本シリーズだが、喜劇好きの坪島監督が演出したためか、はたまた脚本家の関沢新一の発想によるものか、三作目にして本家〝007シリーズ〟ばりのユーモア風味が倍加。三橋達也もこれに応え、ダンディで茶目っ気溢れる国際秘密警察官・北見次郎を余裕たっぷりに演じている。
 星は、原水爆を遠隔操作できる電波を発見したがために悪の組織・世界統一同盟に誘拐されてしまう博士(田崎潤)の娘役で、三橋が博士宅を訪ねるシーンは当地成城の桜並木道でロケされている。この家を辞した後、三橋はスポーツカーで旧成城警察署前の小田急線踏切(註2)を渡るが、残念ながら方向が逆。これでは成城に戻ってしまう。
 本作で悪のヒロインに扮するのは水野久美。田崎や星、水野や藤木悠など、多くの東宝俳優が(いっときだが)成城に住んだ中、坪島監督は祖師谷団地にお住まいであった。

▲(左)三橋達也が車で渡る踏切があった場所。現在は小田急線が高架化され、踏切はない(筆者撮影) (右)東宝DVD名作コレクションより『国際秘密警察 火薬の樽』(筆者所蔵)

 星由里子の「主演第1回作品」と謳われた『B・G物語 二十歳の設計』(61年)は、新人俳優をうまく使いこなすことで定評のあった丸山誠治監督作。ここではビジネス・ガールを演じ、成城学園前駅の橋上改札口や旧龍野邸に姿を現す星だが、『颱風とざくろ』(67年/須川栄三監督)や『北穂高絶唱』(68年/沢島忠監督)など、他の成城ロケ作品でも桜並木通りを歩くシーンを確認することはできない。

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映画は死なず

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