人生百年時代――とはいえ、老いさらばえて100歳を迎えたくはない。
健康で生気みなぎるような日々を過ごせてこそ、ナイス・エイジングだ!
西洋医学だけでなく東洋医学、ホメオパシー、代替医療まで、
人間を丸ごととらえるホリスティック医学でガン治療を諦めない医師、
帯津良一の養生訓は、「こころの深奥に〝ときめき〟あれ」と説く。
帯津良一・87歳のときめき健康法
文=帯津良一
約一年ほど前に、その少し前におこなった、ある講演会のときの写真が送られて来た。なんと、私が若い女性とハグをしている写真である。それも女性の顔が中心のものである。女性は私の右肩に顎を乗せ、目を瞑り、全体にうっとりしている。私の方は後頭部と後頸部のみである。
この会では初めてのお付き合いで、都心の会場にはおよそ30人の聴衆。全員女性である。私が講演のなかでハグの話をしたところ、終わって2、3の質問のあと、ハグの希望者が2人ほど名乗り出た。いずれも中年のこの会では古手の会員さんと思える2人である。
2人とのハグが終わった途端に後方の席から手が挙がったのである。なんと若々しい女性である。まだ20代か。恥ずかしそうにして出て来たがハグは強烈だった。全力で締め付けて来た。まるで真剣勝負のような心地良さではあった。好き思い出である。
私の後頭部についてはじつに端正である。頭髪が短く刈り込んである上に長さが揃っている。床屋さんにお世話になったばかりと言う感じである。白髪と黒い髪が適度に混じり合って、じつに品がある。よくこの姿を写真におさめてくれたと、感謝すること頻りであった。
ここ、しばらくお世話になっている美人の床屋さんの顔が浮かんできた。年の頃はよくわからないが50代といったところか。髪の毛をたくしあげた面長で、そのきびきびした動きに色気がある。私の好きなタイプなのだ。じつはこの床屋さんは私の病院の入院患者さんのために月に2回出張している方なのだ。いつ頃からなのか記憶が定かではないが、病院が開設41年とすると、20年は優に経っているのではないだろうか。
一方、私自身は床屋さんがどちらかというと苦手なのである。一時間以上も動かずじっとしているのが嫌なのである。だから、病棟に出入りしている床屋さんなら融通がきくだろうと思い、髪だけ刈って下さいとお願いしたのである。彼女は快く承知してくれて、丁度30分ですべてが終了する。好きな女性に触られての30分は悪くない。
料金も廉価なので、毎回日本酒か焼酎の小瓶を差し上げるようにしている。彼女が酒好きであることがわかったからである、彼女の魅力が一際かがやいたものである。ある時、格好なお酒がなく、代わりに私の新刊本を差し上げて、
「サインしますから、お名前を!」
と言ったところ、頑なに拒んで教えてくれない。どうやら女も謎めいたところがあるほうが好いようだ。こうして淡淡としたお付き合いも味わいを増すものらしい。お色気の然らしめるところである。
おびつ りょういち
1936年埼玉県川越市生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学医学部第三外科に入局し、その後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。そして2004年には、池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設現在に至る。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長著書も「代替療法はなぜ効くのか?」「健康問答」「ホリスティック養生訓」など多数あり。その数は100冊を超える。現在も全国で講演活動を行っている。講演スケジュールなどは、https://www.obitsusankei.or.jp/をご覧ください。